最新記事

経営

今すぐ辞めてほしい「モンスター社員」を解雇する方法。所要期間は? 注意点は?

2022年9月30日(金)18時50分
堀田陽平 ※経営ノウハウの泉より転載

■ステップ4:解雇の通知

これらのステップを踏んでもなお、問題行動に改善が見込まれない場合には、解雇を通知します。法的には解雇の通知を書面で行う必要はないですが、証拠の観点からは書面で通知することが通常です。上記のとおり、モンスター社員に対しては懲戒解雇を行うことが多いですが、予備的に普通解雇も加えておくことも可能であり、そのほうが安全といえます。

他方で、上記のステップを踏んだ結果、問題行動が改善した場合には、解雇をすべきではありません。時折、"解雇ありき"でステップを進め、問題行動が改善したり、反省の態度を見せている場合でも、「解雇をしたい」と相談を受けることがありますが、問題行動が改善した以上は、モンスター社員を解雇することは難しいと考えてください。しかし、これまで行ってきた問題行動が消えるわけではありませんので、それに対して懲戒解雇以外の懲戒処分を行うことは可能です。

解雇までの所要期間・支払金額

懲戒解雇までの所要期間は、問題行動によってケースバイケースですが、あまり拙速に行うべきではありません。基本的には3か月~1年は見た方が良いでしょう(途中改善の傾向があれば、もっと期間を要することもあります)。

懲戒解雇の判断をする場合には、金銭は発生しません。ただし、その前に、退職勧奨によって自主退職を促すこともあります。その場合にも、問題行動によってケースバイケースですが、賃金の1〜3か月分程度を支払うことが多いでしょう。

所要期間や支払金額については、弁護士などの専門家の意見を聞きながら進めていくとよいでしょう。

【参考】
労働基準法 / e-Gov
労働契約の終了に関するルール / 厚生労働省

2022.09.09

[執筆者]
堀田陽平
石川県出身弁護士
2020年9月まで、経産省産業人材政策室で、兼業・副業、テレワーク等の柔軟な働き方の推進、フリーランス活躍、HRテクノロジーの普及、日本型雇用慣行の変革(人材版伊藤レポート)等の働き方に関する政策立案に従事。
【情報発信等】
日経COMEMOキーオピニオンリーダとして働き方に関する知見を発信。著書「Q&A 企業における多様な働き方と人事の法務」(新日本法規出版)

※当記事は「経営ノウハウの泉」の提供記事です
keieiknowhow_logo200.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金総書記、新誘導技術搭載の弾道ミサイル実験

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件

ワールド

アフガン中部で銃撃、外国人ら4人死亡 3人はスペイ

ビジネス

ユーロ圏インフレ率、25年に2%目標まで低下へ=E
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 10

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中