最新記事

自己啓発

銀座高級クラブのママが証言「仕事のデキない人ほどよく買っている『あるもの』」

2022年3月14日(月)18時45分
伊藤由美(銀座「クラブ由美」オーナー) *PRESIDENT Onlineからの転載

哀川翔が決めた「家族の恐怖のルール」

いつだったか、お店の女の子に、俳優の哀川翔さんがテレビで話していた「家族の恐怖のルール」がおもしろかったという話を聞きました。

そのルールとは、「トイレットペーパーを最後まで使って補充しなかったら半殺し」「落ちているゴミを跨(また)いだら半殺し」というもの。哀川さんらしいとはいえ"半殺し"とは穏やかではありませんが、ルールそのものについては「なるほど」と思わされたものです。

その話を聞いて、「立つ鳥跡を濁さず」ということわざが心に浮かびました。その場の水を濁らせず、澄んだままにして飛び立つ水鳥のように、人も「その場を立ち去るときは、見苦しくないようにきれいに始末をしなさい」という教えです。

この言葉は、転職や退職の際には身ぎれいに円満に辞めるべきという「引き際の美しさ」の例えに使われることが多いのですが、意味するところはそれだけではない、と私は思っています。

「立つ鳥跡を濁さず」とは、今いる場所(とくに公共の場)から立ち去るときは、「後から来る人」や「次に使う人」のことを考え、その人の気持ちを慮おもんぱかって行動しなさい、という教えでもあると思うのです。

でも残念ながら世の中にはそのことに考えが及ばず、「跡を濁しっ放し」で平気な人が少なくありません。オフィスでも、コピー機で拡大コピーを取ったら、標準設定に戻さずそのままにしっ放し。

コピー用紙がなくなっても補充せず、そのままにしっ放し。シュレッダーのゴミがいっぱいになっても、そのままにしっ放し。会議室を使ってイスやデスクを動かしても、元に戻さずそのままにしっ放し。

何でもかんでも「そのままにしっ放し」で、その後に使う人のことを考えない。こういう配慮や気遣いの意識に欠けている人は、十中八九、いい仕事ができません。

さっきまでいた場所には、自分の人間性が残されている

伊藤由美『「運と不運」には理由があります 銀座のママは見た、成功を遠ざける残念な習慣33』当然のことながら、仕事は人と人との関係の上に成り立っています。いわばチームプレーです。ですから、「自分だけがよければいい。あとは知ったことじゃない」という自己中な考え方をしている人の仕事が首尾よく進むはずがありません。

自分だけでなく、周囲の人の仕事もスムーズに進むように、いっしょに働く仲間もストレスなく仕事ができるように。そのために「自分は何をすべきか」を考えて行動することが必要です。

そうした行動を心がけることは、回りまわって自分の仕事をスムーズに、首尾よく進めることにもなるでしょう。次にそこに来た人たちが、次にそこを使う人たちが、先に立ち去った人に対してどんな印象を持つか。

「あ、きちんと片づけてある。助かった」
「やっぱりあの人、ちゃんとしてるね」
「自分が使ったんだから、補充くらいしろっての」
「あの人、またやりっ放しだよ」

社会人としての評価とは、こうしたところに表れるのではないでしょうか。

次に使う家族のために、トイレットペーパーがなくなったら補充すること――哀川家のルールは、社会生活の基本ルールなのです。社会人たるもの、去り際は美しく。あなたがさっきまでいた場所には、あなたの人間性が残されている。そう心得たいものですね。

伊藤由美

銀座「クラブ由美」オーナー
東京生まれの名古屋育ち。18歳で単身上京。1983年4月、23歳でオーナーママとして「クラブ由美」を開店。以来、"銀座の超一流クラブ"として政治家や財界人など名だたるVIPたちからの絶大な支持を得て現在に至る。本業の傍ら、「公益社団法人動物環境・福祉協会Eva」の理事として動物愛護活動を続ける。
FacebookBlogTwitter


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=まちまち、FOMC受け不安定な展開

ワールド

英、パレスチナ国家承認へ トランプ氏の訪英後の今週

ビジネス

NY外為市場=ドル下落後切り返す、FOMC受け荒い

ビジネス

FRB0.25%利下げ、6会合ぶり 雇用にらみ年内
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中