最新記事

投資

NFTブームが過熱 投機群がりバブル危ぶむ声も

2021年8月31日(火)11時47分

NFT投資家のマイケルIKさん(30)は、昨年9月以来NFTに約25万ドルを投じたと明かす。全資産の90%を暗号資産とNFTで保有しているのだという。

イーサスキャンによると、マイケルIKさんは今月、ペンギンの漫画のNFTを139ドル相当のイーサで購入し、4日後に3956ドル前後で売り抜けた。

この他にも彼はオープンシーで、漫画画像のNFTを0.01イーサ(33ドル)で買い、7時間以内に1.5イーサ(4900ドル)で売るなど、高リターンの短期売買を行っている。

風船ガム並みのバブル

マイケルIKさんは規制の少ない暗号資産の市場で投機を始めた理由について、米連邦準備理事会(FRB)による大量の通貨発行が一因だと言う。

「こんな数字を耳にすれば、僕は完全にいかれていると思われるかもしれない。それなら言ってやる。あなたがたは毎日刷られている通貨を保有しているじゃないか。僕から見れば、いかれているのはそっちの方だ」

マイケルIKさんは、コロナ禍で人々が家にこもり、オンラインで過ごさざるを得ない時間が増えたことがNFTブームの一助になったと言う。「僕はこれをバブルだと考えたくはない。これから大きな波になる何かだと考えたい」

仮想通貨の価格上昇もNFT取引の急増に手を貸した可能性がある。NFTはイーサ建てで取引されることが多く、イーサは8月に入って23%ほど上昇した。

ラボバンクのアジア太平洋金融市場調査責任者、マイケル・エブリ氏は、「風船ガムのようにばかげたバブルを膨らませた」NFT市場に衝撃を受けている。普通であれば苦労して金を蓄えるか、住宅購入の「階段」を上らなければならない若者にとってNFTの高いリターンが魅力なのは分かるとしても、それは「宝くじ」を買うようなものだとエブリ氏は語った。

同氏から見れば、NFTは「絶対に」はじけるバブルにほかならない。

(Elizabeth Howcroft記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・話題のNFT(非代替性トークン)とは? デジタル絵に75億円:その仕組みと危険性
・ベルリンが「ブロックチェーンの首都」になった理由
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正ナイキ、米国向け製品の中国依存低減を計画 関税

ビジネス

都区部コアCPI、6月は+3.1%に鈍化 エネルギ

ビジネス

原油先物は続伸、中東供給リスク低下で週間では大幅下

ビジネス

香港IPO・重複上場が上期に活発化、21年以来の好
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉仕する」ポーズ...アルバム写真に「女性蔑視」批判
  • 3
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事実...ただの迷子ですら勝手に海外の養子に
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    単なる「スシ・ビール」を超えた...「賛否分かれる」…
  • 10
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中