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スイス製薬大手ノバルティス、抗マラリア薬の新型コロナ臨床試験 米当局と合意

2020年4月20日(月)16時00分

スイス製薬大手ノバルティスは、新型コロナウイルス感染症の治療薬として有望視されている同社の抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンの無作為化臨床試験を440人の入院患者に対して行うことで米当局と合意したと発表した。写真はノバルティスのロゴ。スイスのロートクロイツで1月撮影(2020年 ロイター/Arnd Wiegmann)

スイス製薬大手ノバルティスは20日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として有望視されている同社の抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンの無作為化臨床試験を440人の入院患者に対して行うことで米当局と合意したと発表した。

米食品医薬品局(FDA)は新型コロナ感染症の入院患者を対象にヒドロキシクロロキンの緊急使用許可を出しているが、これまでのところその効果は科学的に証明されていない。

同社の新薬開発責任者、ジョン・ツァイ氏は「我々はヒドロキシクロロキンが新型コロナ感染症患者の治療に有効かどうかという科学的疑問に答える重要性を認識している」と語った。

紅斑性狼瘡や関節リウマチの治療にも使われるヒドロキシクロロキンは、トランプ大統領が新型コロナ治療薬として導入を強く主張しているが、効果がまだ実証されていない医薬品を政権が支持していることによって監督プロセスがおろそかになっているのではないかと危惧する専門家もいる。

[チューリヒ ロイター]


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