最新記事

貿易戦争

年内に続々「発動期限」到来 トランプの関税措置

2019年10月17日(木)08時29分

11月14日 米通商拡大法232条による自動車関税

米国に輸入される自動車・自動車部品を安全保障上の脅威とみなし、通商拡大法232条に基づく最大25%の制裁関税対象とするかどうかに関する政府の長期的な調査は、11月14日に結論が下される。

トランプ政権は、この判断を先送りしてきた。もし制裁関税を発動すれば、販売価格に数千ドルが上乗せされ、米経済全体で数十万人の雇用が失われる可能性がある。

11月16─17日 APEC首脳会議

トランプ氏と中国の習近平国家主席は、11月16─17日にチリで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する予定。トランプ氏はそこで、中国との「第1段階」の通商合意を正式署名できるとの見方を示している。ただ両国には、知的財産や為替政策、中国における金融サービスアクセス、農産品購入についての相互の了解事項を合意文書に加えるための交渉が残っている。

そうした合意文書取りまとめには集中的な話し合いが必要で、最終的に米国が中国向け関税をさらに軽減したり、中国が米農産品を追加購入することなどが盛り込まれるかもしれない。

11月中 USMCAの承認採決

新たな北米自由貿易協定(NAFTA)と位置付けられている、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)は、昨年9月に交渉が妥結したが、発効に不可欠な米議会の承認がまだ得られていない。

トランプ氏や与党・共和党、複数の企業団体は野党・民主党のペロシ下院議長に、11月28日の感謝祭のかなり前に批准手続きを進めるよう求めている。11月末までずれ込むと、批准法案と政府の資金繰りを維持するための予算措置の審議が重なってしまう。その後になれば、来年の大統領選と議会選に向けた活動が本格化し、また下院民主党によるトランプ氏の弾劾調査が進行するので、批准法案は立ち往生しかねない。

それでも一部の民主党議員や米国労働総同盟・産別会議(AFL─CIO)のトップは最近、USMCAの労働者の権利保護に関する条項が適切に執行されるかどうか懸念を表明している。

12月15日 新たな中国製品向け関税

12月15日には、これまで対象外だった1560億ドル相当の中国製品に新たな関税が適用される。

携帯電話やパソコン、玩具、衣料品といったほぼ全ての消費財が含まれる見込み。米国の企業や小売業者がクリスマス商戦用に関税ゼロで十分な在庫を確保できるようにこうした期限が設定されたが、同商戦終盤の買い物客は値上げに直面してもおかしくない。

[ワシントン 15日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20191022issue_cover200.jpg
※10月22日号(10月16日発売)は、「AI vs. 癌」特集。ゲノム解析+人工知能が「人類の天敵」である癌を克服する日は近い。プレシジョン・メディシン(精密医療)の導入は今、どこまで進んでいるか。



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物小動き、イラク生産減と米関税問題が交錯

ビジネス

EU、次期予算案で原発に資金拠出検討 ドイツは反対

ワールド

中南米海外直接投資、24年は7.1%増 新規は停滞

ビジネス

スウォッチ、中国低迷で上期7.1%減収 フラン高も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 10
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中