最新記事

日韓関係

日本政府、韓国をホワイト国から除外 文在寅「今後の展開はすべて日本の責任」

2019年8月3日(土)07時54分

政府は閣議で、輸出の優遇措置を適用する「ホワイト国」のリストから韓国を除外する政令改正を決定した。写真は2012年8月、都内で撮影(ロイター/Yuriko Nakao)

政府は2日の閣議で、輸出の優遇措置を適用する「ホワイト国」のリストから韓国を除外する政令改正を決定した。政令改正は7日に公布され、28日に施行される。世耕弘成経済産業相は会見で、今回の措置は安全保障上の観点から対応したもので、徴用工問題などを巡る韓国への対抗措置ではないと強調した。韓国はこれに強く反発。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「非常に無謀な決定だ」と批判、対抗措置をとる考えを示した。

日韓関係に影響を与える意図ない

世耕経産相は韓国の優遇措置の取り消しについて「安全保障のための輸出管理の適切な運用に必要な見直しで、粛々と手続きを進めてきた」と述べた。韓国の輸出管理に不十分な点があると指摘し、「迂回輸出や目的外転用には厳正に対処していく」との考えも示した。

運用見直しを巡って「日韓関係に影響を与えることは意図していない。(韓国に)厳格な輸出管理を行ってもらうことが重要で、対抗措置でもない。日本企業に悪影響が出ることは基本的にはない」との認識を示した。

同時に「信頼して対話できるような環境作りをまず韓国が行うよう望む。それは韓国の責任だ」と強調した。

菅義偉官房長官は「あくまで優遇措置を撤回し、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と台湾など他の国・地域と同様の扱いに戻すもの」と説明。「グローバルサプライチェーンへの影響は全く考えられない」と強調した。

河野太郎外相もバンコクで開かれている東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)外相会議で、今回のホワイト国からの除外は世界の自由貿易体制に完全に合致していると主張した。

日韓、連携すべき課題はしっかり連携

一方、菅官房長官は日韓の安保協力について「日韓関係は現在非常厳しい状況にあるものの連携すべき課題はしっかし連携するのが重要」と強調。北朝鮮に関する韓国との情報共有についても「しかるべき意思疎通している」と述べた。

韓国の大統領府報道官は先月、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、見直しを検討する可能性があると指摘している。

同協定は北朝鮮の核やミサイルの脅威に対応することが目的で、毎年自動的に更新されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地

ビジネス

米国株から資金流出、過去2週間は22年末以来最大=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中