最新記事

航空機

いまだ飛べない737MAX、航空各社の「稼ぎ時」を直撃

2019年4月18日(木)12時10分

長期にわたる運航停止は、北半球の航空会社にとってこれ以上ない最悪のタイミングで発生した。米運輸統計局(BTS)によると、航空各社が1席・1マイルあたり最高の収益を稼ぐのは6─8月で、その間各社は保有機をフル回転させる。

アメリカン航空の経営陣は従業員と顧客に宛てた14日付の手紙で、737MAX型機は「早期に」再認証されると考えているとする一方で、「年間で一番の繁忙期」に信頼と信用を顧客に与えたいとした。

アメリカン航空は6月初旬まで1日当たり約90便のキャンセルを見込むが、夏季の最繁忙期には運航便を増やす予定で、機材繰りの余裕は低下する。

「われわれにとって困難な状況になることは否定しない」と、アメリカン航空の広報担当者、ロス・ファインスタイン氏は認める。「だからこそ、機材不足が原因でキャンセルをさらに延長せざるを得ない場合は、なるべく早期に決めることにしている」

供給座席数の減少により、特にビジネスクラスで、夏季の運航日直前の最終運賃が高めになる可能性があると、航空コンサルタントやアナリストは予測する。

737MAX型機14機を保有するユナイテッド航空は、同型機をより大きな777型機や787型機に差し替えることで、大規模なキャンセルを回避してきた。だが同社のスコット・カービー社長は先週、このやり方はコストが大きく、永遠に続けられるわけではないと警告した。

全体的にみれば、737MAX型機はサウスウエストが保有する機体の5%でしかなく、アメリカンやユナイテッドではこの割合はさらに低下する。だが、機材繰りへの負担は、追加の737MAX型機の納品が凍結されたことで増大することになる。

サウスウエストは今年、同型機41機の納品を控えている。アメリカンは16機、ユナイテッドは14機の納品を受ける予定だ。

こうした事態に対応するため、世界各国の737MAX型機の運航会社は、他の保有機の1日当たりの運航回数を1─2回増やしたり、必須ではないメンテナンス作業を延期するなどしている。

また、機体のリースを延長したり、使っていない機体を再利用することを検討している航空会社もあるが、737MAXの運航再開がいつになるか分からない現状では、明確な、または安価な選択肢はないと、コンサルタントは話す。

ユナイテッドは、第1・四半期の決算を16日に公表する。サウスウエストは25日、アメリカンは26日に予定している。

(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

Tracy Rucinski

[シカゴ 14日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NYタイムズ、パープレキシティAIを提訴 無断複製

ワールド

プーチン氏、インドに燃料安定供給を確約 モディ首相

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、12月速報値は改善 物価
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 2
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 3
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開きコーデ」にネット騒然
  • 4
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 5
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 6
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 10
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 8
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 9
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 10
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中