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世界経済

ウクライナ債務不履行が招く危機の連鎖

2014年3月10日(月)12時04分
マイク・オベル

最初に打撃を受ける国は?

 政治の混乱が長引けば、経常赤字と政府債務の膨張でデフォルトになる最悪のケースに至る可能性も高くなると、スイスの大手投資銀行UBSのアナリストは警告する。

 そのとき、まず直撃を受けるのはロシアと旧ソ連圏だろう。ロシアの銀行はウクライナの企業などに280億ドルを貸している。それが回収不能になるという懸念から、通貨ルーブルは今年に入って10%下がった。またカザフスタンは輸出競争力を維持するために通貨を大幅に切り下げた。

 欧州諸国の銀行の中には、ウクライナ国債を大量に保有している金融機関もある。しかもウクライナ経由のパイプラインでロシアから天然ガスを輸入している。04年にウクライナで親欧米の政権が誕生後、ロシアがガス供給を停止して欧州諸国も大混乱に陥った。

 ウクライナは1人当たりGDPが3800ドル程度の貧しい国だが、デフォルトすれば、新興国や欧州経由で危機が波及する可能性もある。世界経済にとって、気の抜けない時期がまた始まったのかもしれない。

[2014年3月11日号掲載]

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