最新記事

日本経済

日本の没落から学ぶべき真の教訓

2011年1月28日(金)13時27分
ロバート・サミュエルソン(本誌経済担当コラムニスト)

 日本の不調には2つの大きな原因がある。非効率な内需産業が生産性の高い輸出産業の足を引っ張る「二重経済」だ。特に80年代までは「経済の20%にすぎない輸出産業が残りの80%を引っ張っていた」と、オリエンタル・エコノミストのリチャード・カッツ編集長は言う。

 だが80年代後半からの円高で、この輸出主導経済が立ち行かなくなる。それからずっと、日本は代わりの成長源を模索してきた。超低金利も多くの「改革」も役に立たなかった。

 2つ目の問題は少子高齢化だ。働く夫に専業主婦の妻、2人の子供という日本の核家族は衰退し続けている。89年の時点でも、女性が一生に産む子供の平均人数「合計特殊出生率」は1.57で、人口増と人口減の境目とされる2を大きく下回っていた。そこに景気後退が重なり、男性の初婚年齢は90年の27歳から35歳に上昇したと、ボストン大学のメリー・ホワイト教授(社会学)は言う。合計特殊出生率も1.3まで下がっている。

 日本経済は泥沼にはまっている。円高で輸出はできず、少子化と革新なき企業のせいで内需も減り続ける。巨額の財政赤字や超低金利はせいぜい止血の役にしか立たず、経済構造の問題点を正すことはできない。

 景気刺激策は今アメリカの経済政策の焦点になっているが、それは間違いだ。景気回復の成否は、最後は民間企業に懸かっている。肝心なのは、規制や政策の不透明性を取り除き、企業の成長を後押しすること。それを怠れば、日本と同様の低成長しか望めないだろう。

[2010年11月24日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カトリック教会の聖年閉幕、ローマ教皇が隣人への助け

ワールド

G7財務相、レアアース供給巡り12日協議へ=関係筋

ワールド

トランプ氏、ベネズエラが最大5000万バレルの石油

ワールド

マチャド氏、ベネズエラ帰国「できるだけ早く」 選挙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 7
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 8
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 9
    砂漠化率77%...中国の「最新技術」はモンゴルの遊牧…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中