最新記事

中国

MS元トップの学歴詐称疑惑で慌てる人々

マイクロソフト中国法人の元トップに浮上した疑惑は氷山の一角だった

2010年7月22日(木)15時46分
長岡義博(本誌記者)

「大学の門の前で卒業証書を売っている」のは中国の常識。だがチャイナドリームの実現者であるマイクロソフト中国法人の元トップ唐駿(タン・チュン、48)の学歴詐称疑惑はさすがの中国人も想定外だったらしい。

 唐は北京の大学を卒業後、日本に留学。さらにアメリカに渡り、カリフォルニア工科大学を経て94年にマイクロソフトに入社。ウィンドウズの開発で頭角を現し、02年から04年まで中国法人のトップを務めた──とされていた。

 ところが7月初め、在米中国人作家の方是民(ファン・シーミン、42)がブログで、唐が著書の中で自称していた「カリフォルニア工科大学博士」という経歴がウソだと指摘。方によれば、大学の卒業生名簿にも全米の大学の博士論文を集めたデータベースにも唐の名前はなかった。

 批判が殺到したため、唐は「カリフォルニア工科大学の博士号を取得したと言ったことはない。在籍しただけ」と弁明。博士号を取得したのはカリフォルニア州のパシフィック・ウエスタン大学だったと明らかにしたが、この大学は実際に就学しなくても学位を授与する「ディプロマ・ミル(証書工場)」疑惑のある大学だった。

 中国では出世を狙う官僚の学歴詐称が多い。唐の事件をきっかけに、人物紹介サイトで経歴の修正が相次いでいるという。

[2010年7月28日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

インドとパキスタン、即時の完全停戦で合意 米などが

ワールド

ウクライナと欧州、12日から30日の対ロ停戦で合意

ワールド

グリーンランドと自由連合協定、米政権が検討

ワールド

パキスタン、国防相が核管理会議の招集否定 インドに
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦闘機を撃墜する「世界初」の映像をウクライナが公開
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    指に痛みが...皮膚を破って「異物」が出てきた様子を…
  • 6
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中