コラム

衆参ダブル選挙を憲法改正に絡めるのは強引すぎる

2016年03月25日(金)18時00分

 解散の大義名分となる「増税先送り」に関しては与野党が合意してしまって選択のしようがない、その一方で「政権担当能力」という点からはほとんど与党以外に選択肢がない、けれども、そこに改憲論議が「強制的なセットメニュー」としてついてくる、仮にそのようなダブル選となるとすれば、それは極めて異常です。

 かといって、参院選だけを単独で行うと「景気が悪いから与党にお灸をすえて反省させよう」的な投票行動が出て、政権が「続くけれども弱体化」し、結局は景気がさらに悪くなるという悪循環に陥る可能性もあります。安倍政権としては、2007年の単独参院選敗北の悪夢を再現したくないという強い動機があるかもしれません。

 ですが、仮に2007年の反省を教訓にするのであれば、あの時の敗北の要因としては「経済が下降気味で、格差の問題が出てきたのにイデオロギー論議に走った」ことが失敗であったわけです。

 そう考えると、今年の場合も、あくまで改憲論議は封印して、経済運営と政権運営に関する信任を問う「実務的な低姿勢」に徹することで、静かに参院選を乗り切る――これが安倍政権にとっては上策なのではないでしょうか。今回の参院選を強引にダブル選挙へ持ち込んで、そこに憲法論議まで絡めるというのは、どう考えてもトリッキーすぎるように思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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