Picture Power

【写真特集】出口なきエルサルバドルの闇

NO WAY OUT

Photographs by TARIQ ZAIDI

2021年11月16日(火)16時00分

チャラテナンゴ刑務所に収監されている27歳のMS‒13メンバー。MS‒13のモットーは「殺せ、レイプし、支配せよ」

<暴力と恐怖が支配するギャングの世界に一度足を踏み入れれば、もう出口はない>

ギャングによる殺人やレイプが蔓延する中米エルサルバドル。幼少期から暴力や貧困と隣り合わせの日常は、絶望した若者たちをギャングの道へと引きずり込む。新入りメンバーは殴打やレイプの洗礼を受け、逃げ出そうとする者には死が待ち受ける。

写真家のタリーク・ザイディは、ギャングが恐怖によって同国を支配している様子を写真集『シン・サリダ』にまとめた。「(ドナルド・)トランプ前米大統領が中米からの移民を『犯罪者』と呼んだとき、彼らがどんな生活から逃れようとしているのかを知ろうと思った」とザイディは言う。

3年がかりで撮影したのが、同国で二大勢力とされるギャンググループのマラ・サルバトルチャ(MS-13)とバリオ18のメンバー、そしてその恐怖支配の現場だ。

8~9歳でギャングに入る子供もおり、一度入ると精神的にも肉体的にも抜け出すことは困難だ。絶望的世界への入り口は曖昧で、一度入ると出口はない。彼らの支配下に生きる多くの人々にもまた、出口は見えない。

ppsalvador02.jpg

ケサルテペケ刑務所に過密状態で収監されているギャングたち。貧困が若者を絶望させギャングに入るしか道がない状況に(2018年)


ppsalvador03.jpg

エルサルバドルの首都サンサルバドルの路上で射殺事件があったエリアを封鎖する警官たち。死体には8発の弾丸が撃ち込まれていた


ppsalvador04.jpg

2018年の撮影時、チャラテナンゴ刑務所では更生を目的にアクティビティーが行われていたが、20年に同刑務所は閉鎖された

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に

ビジネス

トランプ氏、8月下旬から少なくとも8200万ドルの

ビジネス

クーグラー元FRB理事、辞任前に倫理規定に抵触する
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story