コラム

経済政策論争の退歩

2017年01月11日(水)17時40分

 理論自体は、愚かであろうが愚かでなかろうが、学者の世界の流行に乗るかどうか、時流に乗るかどうか、という問題だから、実害はない。学者には遊ばせておけばよいのである。

 問題なのは政治である。政治がこれに飛びついたのが最悪なのだ。

 偉大なサマーズの長期停滞論から、公共事業を中心とした財政出動の推奨と、インフレを起こす最終手段としての財政赤字(シムズは日本については消費税引き上げをインフレが2%になるまでしないことを提案している、いわばインフレーションターゲット減税だ)の二つを、政治が都合よく利用しようとしている。

 サマーズもシムズも浜田氏も政治利用されているだけなのだ。

 政治的には、金融政策はしゃぶりつくした。もう使いすぎて、シャブ中ならぬ金融緩和中毒に市場と経済はなってしまったから、次は、財政をしゃぶり尽くす、それだけのことなのだ。

 学者たちがしゃぶりつくされるのは自業自得だが、経済自体、社会が政治にしゃぶられ、中毒になり、安楽死へ向かうのは放っては置けない。

 なんとしても全力で止めなくてはならない。

 これからのシリーズで、これらの誤りを議論し、経済の現状、あるべき政策、経済のために真に必要な政策について議論していきたい。

*この記事は「小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記」からの転載です

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

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