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CIAに潜む中国二重スパイ

2017年04月17日(月)18時30分

だがかつてFBIの防諜部隊を率いていたハリー・ブランドンは、シュライバーの一件が失敗に終わったとはいえ、国家安全省には一定の収穫があったのではないかと言う。「彼らはただ、われわれを混乱させようとしていただけかもしれない」

冷戦中のことだが、ソ連のKGB(国家保安委員会)にだまされたCIAの防諜責任者ジェームズ・アングルトンは、CIAが二重スパイだらけになったと思い込み、ロシア人職員の採用を凍結したことがある。

「中国側は、CIAを被害妄想に陥れるためにシュライバーをわざと捕まらせたわけではないだろう」とブランドンは言う。しかし中国をよく知り、語学にたけた人材の採用をCIAがためらうことには「一定のメリットを感じたかもしれない」。

そして、そうした疑いはイランやロシア、シリア、パキスタン、そして旧ソ連圏諸国のような場所で経験を積んでいたり、親戚関係があったりする候補者に対する疑心暗鬼にまで広がっていると関係者は言う。

確かにCIAは被害妄想かもしれない。しかし全てが妄想とは限らない。『ゲーム・オブ・ポーンズ』の終盤で、いみじくも獄中のシュライバー自身が語っている。「スパイの募集は今も続いている」と、中国に向かう学生に彼は警告する。「ちゃんと用心しろ。募集は活発で、その標的は若者なんだ」

ジェフ・スタイン(ジャーナリスト)

[2017年4月18日号掲載]

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