コラム

まるで「ジュラシックパーク」...ロンドン証券取引所から「逃げ出す」企業が相次ぐ理由

2024年12月19日(木)16時13分

減税と規制緩和を唱えるドナルド・トランプ米次期大統領の復活で資本市場は米国1強の様相を呈する。欧州連合(EU)から離脱した英国の株式市場は見向きもされず、英国企業の米国市場へのエクソダスが止まらなくなっている。

米ブルームバーグによると、ロンドンで新規上場した企業は今年、世界20位の10億ドルで昨年より9%減少した。世界1位米国は410億ドル。2位インドは180億ドル、3位中国は150億ドル、4位香港100億ドル、5位アラブ首長国連邦(UAE)60億ドル、6位日本50億ドルだ。

ハイテク企業の価値評価が低い

LSEはすでに上場している企業が投資家からどれだけ資金を調達したかを含む広義の資金調達額では依然として世界3位と反論している。しかしEU離脱で縮小が進む英国では英半導体設計アームのナスダック上場ショックなど上場廃止や海外市場での上場を選択する企業が相次ぐ。

LSEの上場企業のうち時価総額上位100社(FTSE100)に名を連ねる工具レンタル大手のアシュティードは英国での上場をやめて米国に移転する計画を発表。建設資材メーカーCRH、旅行代理店TUI、梱包材メーカーのスマーフィット・カッパなどに続いた。

LSEはナスダック、ニューヨーク証券取引所に比べハイテク企業の価値評価が低い。FTSE100はオールドエコノミーのレッテルが貼られる。主要銘柄の銀行、エネルギー大手、タバコ会社が20世紀の臭いを漂わせる。英国の年金生活者が好むのは成長株ではなく高配当株だからだ。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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