コラム

日銀「植田新総裁」に市場はひと安心...だが、学者ならではのマイナス要因も

2023年02月23日(木)13時19分

日銀は政府が発行する国債の50%以上を抱え、長期金利を低く維持するため大量の国債買い入れを余儀なくされている。一歩間違えば、金利が急騰するなどの混乱が発生する可能性があり、場合によっては力ずくで市場を手なずける措置も必要となるだろう。

学者らしい明晰さは基本的に市場や国民にとってプラスであり、歓迎すべきことだが、事態が急展開した場合には、逆にこうした論理性や誠実さがマイナス要因として働くこともある。

目下最大の注目点は、長期金利を操作対象とするイールドカーブ・コントロールの扱いだろう。

市場が強く求めている1%程度への金利上昇を容認するのか、当面は現状の金利水準を維持するのかで市場の反応は大きく変わる。仮に金利上昇を容認するスタンスだった場合、今度は、利払い費増加への対処が注目され、日銀から政府にボールが移るかもしれない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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