コラム

NTTのドコモTOB、「菅首相」よりはるかに重大な「動機」とは?

2020年10月14日(水)11時59分

各社はTOBの実施について、成長戦略を強化するためと説明しているが、実態はこれからやって来る壮絶な奪い合い経済に備えるためである。

コンビニと商社は本来、商品を仕入れる側と卸す側という利害が相反する関係だが、縮小経済においては、両社が一体となってグループ全体の利益を守るほうが得策との判断が行われた可能性が高い。後ろ向きな理由ではあるが、今後、TOBに限らずM&A(合併・買収)などを通じて規模拡大を目指す動きは、国内市場に依存するあらゆる業界に波及してくるだろう。

近年、大和ハウスがフジタを買収したり、積水ハウスが鴻池組を連結子会社化するなど、ハウスメーカーによるゼネコン買収が相次いでいるが、これも同じ動きと考えてよい。

オリンピック特需が消滅した今、国内の建設需要は減る一方となる。ハウスメーカーとゼネコンは業態が異なるが、縮小市場においては規模を追求しないと生き残れない。10年後には今のゼネコンという業態が消滅している可能性すら考えられる状況だ。

<本誌2020年10月20日号掲載>

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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