アングル:トランプ減税、ガソリン代高騰で効果台無し
写真はガソリンスタンド。2022年3月、米カリフォルニア州ロサンゼルスで撮影。REUTERS/Bing Guan
David Lawder
[ワシントン 10日 ロイター] - トランプ米大統領は2月、2025年に承認された新たな個人向け減税措置のおかげで、今年の税還付金が「かつてないほど大幅に増える」とアピールし、還付金が銀行口座に入金された際には自分のことを思い出してほしいと納税者に呼びかけた。
「このお金を一度に全部使わないで!」と投稿したが、実際にはまさにその通りになっている。チップ、社会保障の年金給付、残業代、自動車ローンの利息、州・地方税に対する新たな税制優遇措置に伴う税還付金の増分は、大部分がガソリン代に消え去っているからだ。
中東紛争を受けたガソリン価格の高騰は今後も続くとみられており、エコノミストは、収入の多くをガソリン代に充てている低所得層にとって、減税による恩恵は最も小さくなると指摘している。
内国歳入庁(IRS)の申告データによると、2025課税年度の平均還付額は4月3日現在、前年の平均値から346ドル(11.1%)増の3462ドルだった。これらの数値は、15日の確定申告期限を前にさらに上昇する可能性があり、還付金の増加幅はモルガン・スタンレーが560ドル、保守系団体であるタックス・ファウンデーションは611ドル、財務省は1000ドルとそれぞれ推計している。
一方、スタンフォード大学経済政策研究所のエコノミストらは3月23日時点で、戦争による価格高騰により、今年の米国人の平均年間ガソリン代が857ドル増加したと推計している。
連邦議会の合同経済委員会に所属する民主党議員らは、自動車利用者団体AAAの価格データ、自動車情報サイト「エドマンズ・ドット・コム」の車両燃費データ、および連邦政府のガソリン消費量データに基づき、イラン戦争開始後の最初の1カ月間で、米国人がガソリン代として84億ドルの追加支出をしたと推計している。これは、4月3日までの個人還付総額の増加分307億ドルの4分の1以上に当たる。
スタンフォード大経済学教授のニール・マホーニー氏は「ガソリン価格はおそらく経済において最も目立つ価格だ」と指摘。「マクロ的な視点からは影響は控えめかもしれないが、個々の家庭にとって影響は大きなものになり得る」と述べた。
還付金の増額を期待して夏休みの旅行やキッチンのリフォームを計画していた家庭は、ガソリンへの支出を増やさざるを得なくなり、計画を見直す可能性がある。ディーゼル燃料、肥料、ジェット燃料、アルミニウム価格の高騰が経済全体に波及するにつれ、食料品代の上昇も予想される。
還付金の増額は当初、経済への穏やかな後押しとなるはずだったが、今では景気減速の緩和策としての役割が強まっている。アナリストは米国の消費と国内総生産(GDP)の予想を下方修正し始めている。 モルガン・スタンレーは、26年の消費の伸び率が25年の2.1%から1.7%に鈍化すると予想。オックスフォード・エコノミクスは26年の世界GDP見通しを3.0%増から2.6%増へと大幅に引き下げている。





