IMF・世銀春季会合、中東紛争が影落とす
米ワシントンの本部ビルに掲げられたIMGのロゴ。2018年9月撮影。REUTERS/Yuri Gripas
Andrea Shalal
[ワシントン 12日 ロイター] - 米首都ワシントンで今週開催される国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合に中東紛争が影を落としている。戦闘は新型コロナウイルスのパンデミックと2022年のロシアによるウクライナ侵攻に続き、世界経済に大きな衝撃を与えた。
IMFと世界銀行の当局者は先週、戦争の影響を踏まえて世界の経済成長見通しを下方修正、インフレ見通しを上方修正する方針を示し、新興国と発展途上国がエネルギー価格上昇と供給混乱によって最も強い打撃を受けると警告した。
両機関は2月28日の戦闘勃発前、成長予想引き上げの見通しを示していた。トランプ米大統領による関税引き上げ後も世界経済が底堅く推移していたため。だが戦闘によるショックで、景気回復は遅れインフレが再燃する恐れが生じている。
世銀は現在、基本シナリオとして新興国と発展途上国の今年の経済成長率を3.65%とし、昨年10月時点の4%から下方修正しているが、戦闘が長期化した場合には最低2.6%にまで下がると想定している。これら諸国の今年のインフレ率は4.9%と従来の3%から上方修正し、最悪のケースでは6.7%にまで跳ね上がる可能性があるとみている。
IMFは先週、戦争が継続して肥料の出荷に支障を来し続ければ、さらに約4500万人が深刻な食料不足に見舞われる可能性があると警告した。
IMFは、低所得のエネルギー輸入国に対する短期的な緊急支援として200億─500億ドルが必要になるとの見通しを示した。世銀は、必要に応じて危機対応措置を通じて短期的には250億ドル程度、向こう6カ月では最大700億ドルの資金を動員する可能性があると表明した。
だがエコノミストらは各国政府に対し、物価高騰の痛みを和らげる広範な家計支援策はインフレをあおりかねないため、対象を絞り込んだ時限的措置を講じるよう呼びかけている。
米中間の緊張は続き、20カ国・地域(G20)も危機対応の足並みがそろわないなど、世界経済の状況は一変している。
シンクタンク、アトランティック・カウンシルで国際経済部門を統括するジョシュ・リプスキー氏はIMFと世銀について「世界で現在、何らコンセンサスが存在しない状況でコンセンサスに基づく運営を試みている」と指摘。戦争によって打撃を受けた国を支援する用意があるというIMF、世銀、他の国際金融機関の声明は明らかに市場を安心させることを目的としていると説明した。
その上でリプスキー氏は「それは民間債権者に対するシグナルだ。今は危険な状態にある国々を見捨てる時ではない。彼らは多国籍の開発銀行や国際的な金融機関から支援を受けるだろう。今回はコロナ禍のようにはならない。今回はわれわれが対処可能な状況なのだ」と語った。





