焦点:高値の提案も拒否可能、経産省がM&A指針明確化 同意なき買収にどう影響
写真は経産省の庁名標。2009年7月、東京で撮影。REUTERS
Ritsuko Shimizu Makiko Yamazaki
[東京 9日 ロイター] - 経済産業省は、同意なき買収が増えるきっかけにもなった「企業買収における行動指針」の趣旨を明確にするために補足文書を策定する議論を開始した。高い買収価格が企業価値を高める提案だという誤解を是正するのが狙いだが、投資家の間には対日投資を厳格化する動きと警戒する向きもある。担当する産業政策局の鮫島大幸・産業組織課長はロイターとの取材で「買収防衛策を安易に導入することを進めるものではない」と述べた。
2023年8月に公表された指針は、健全な産業再編を促進するために策定された。抵抗感が強かった「敵対的買収」を「同意なき買収」と言い改め、企業価値向上につながるものであれば評価。真摯な買収提案に対しては、企業も過度な買収防衛を行わず「真摯な対応」をすることが求められた。台湾の電子部品メーカー、ヤゲオによる芝浦電子への株式公開買い付け(TOB)やカナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールによるセブン&アイ・ホールディングスへの買収提案など、海外企業による同意なき買収の増加にもつながった。
鮫島課長はこうした動きを歓迎しつつ、「取締役会が高値のオファーに反対できないという誤解がある」と指摘。例えば、現経営陣の方が企業価値をより高められると信じる場合や、買収者が後に資産の切り売りや技術の持ち出しを行う可能性があると判断した場合、取締役会は拒否する権利があると述べた。そのうえで「高い価格の提案であっても、それがそもそも企業価値を高めるかどうか、取締役会はきちんと判断するべき」と見直しの趣旨を説明した。
一部の投資家は、従業員や取引先の貢献も組み込まれる企業価値の概念は曖昧だと主張。株主還元よりも「企業価値」を重視することが、経営陣の自己保身を許す可能性があるとしている。
鮫島氏は「企業の支配権、すなわち誰がマネジメントするかを決めるのは株主だという原則は変えるつもりはない」と強調。買収防衛策の導入を進めるものではないとしたうえで「きちんと情報開示し、買収防衛で拒否するのでもなく、応じるかを決めるのは取締役会でなく株主」と述べた。そのうえで、今回の補足文書により同意なき買収の増加が鈍化する可能性は低いと説明した。「企業価値を高め、それによって株主価値も高める」のが望ましい買収だとし、「こういうM&A(企業の合併・買収)を進めるという基本を変えるつもりは全くない」と強調した。
企業価値評価に詳しい早稲田大学大学院経営管理研究科の鈴木一功教授は、「指針自体に功罪があったことは間違いない」と話す。「株価を意識した経営が行われるようになり、結果として株式市場が底上げされた」ことをメリットに挙げる一方、「経営能力のある買収者かどうか疑わしい買収案件もあるほか、アクティビストが息のかかった人物を取締役に送り込み、プライベートエクイティファンド等へ買収されるようにプレッシャーを掛けるというケースもある」と語る。
経産省は4月にかけて対象会社や買収者などへの聞き取りを実施し、4月に原案、5月頃の取りまとめを目指している。
鈴木教授は「定量的にどの程度の売上増やコスト減を見込むのかを開示させれば、買付者の下で経営することが長期的にその企業のためになるのかを判断する材料になるだろう」と今回の見直しを評価する。もっとも、「高値で売却し、儲かりさえすれば良いという株主がTOBに応じることは阻止できない」と指摘している。
(清水律子、山崎牧子 編集:久保信博)
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