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マクロスコープ:衆院選、序盤は自民リードとの報道 中道「激戦区多い」

2026年01月29日(木)12時58分

国会前で1月23日撮影。REUTERS/Kim Kyung-Hoon

Tamiyuki Kihara Yoshifumi ‍Takemoto

[東京 29日 ロイター] - 衆院選(2月8日投開票)は序盤の舌戦を‌迎えている。報道各社の情勢調査では、高市早苗総裁(首相)の人気を背景に自民党がリードする構図だ。一方、伸びを欠くと言われる中道改革連合も、「終盤盛り返せる」と悲観していない。専門家は高市氏の人気を認めつつ、波乱要素も指摘する。

<自民は手応え>

読売新聞は28日夜‌、衆院の総定数465に対し自民が単独過半数(233)をう​かがう勢いだとの情勢調査を配信した。日本維新の会と合わせ、常任委員長ポストを独占し各委員会で過半数の委員を確保できる絶対安定多数(261)も視野に入れる勢いだ。中道は伸びが見られず、立憲民主党と公明党を合わせた公示前勢力(167)を維持できない見通しという。日経新聞も「自民単独過半数の勢い」との見出しでほぼ同傾向の情勢調査を配信した。

実際、自民候補は手応えを感じている。東日本で返り咲きを狙う元職の一人は、ロイターの取材に「前回の選挙に比べ握手に応じてく‌れる人の数が格段に増えた」と話した。西日本の新顔を支援する参院議員も「有権者はメディアの政権批判に飽き飽きしている。戦況は悪くない」と語る。

自民優位の要因はいくつか考えられる。一つは高市氏の人気に加え、前回の逆風の主因となった政治とカネの問題を有権者が重視していないことだ。NHKが実施した1月の世論調査では、投票の際に重視することとして「物価高対策」が最多の41%に上る一方、「政治とカネの問題」は7%にとどまった。2024年の前回衆院選前の調査で「政治とカネ」が13%だった点を踏まえると、有権者の関心がより暮らしに向いていることがうかがえる。

加えて、立憲民主党とともに中道に合流した公明党の支持母体・創価学会が、比例ブロックの集票を重視しているとされる点も注目だ。中道は各比例ブロックで旧公明の候補計28人を名簿上位で優遇した。公明は小選挙区からは撤退しており、前出の自民前職は「学会がとにかく比例を重視しているのは伝わってくる。逆に言えば小選挙区では今回もある程度こちらに『​学会票』が入りそうだ」と語った。

<中道も悲観せず>

一方、中道も悲観はしていない。党の立ち上げが衆院解散直前に⁠なったことからそもそも党名の浸透に時間がかかると認識していることに加え、伝統的に学会員は情勢調査に回答しない傾向があるためだ。選挙戦略‍に携わる中道幹部は情勢調査について「学会は本気でこちらを支援している。実際はもっと僅差だろう」と話す。

同幹部によると、有権者の間には自民が勝つことで政策がより右傾化してしまうことへの懸念があるという。「この時期に解散したこと自体への不満もある。激戦の選挙区が多く終盤にかけて盛り返せるはずだ。結果は投票箱を開けるまでわからない」と語った。

<参政党が不確定要素か>

序盤の情勢を専門家はどう見ているのか。

元自民党幹部職員で政治評論家の田村重信氏は「高市氏が『日本列島を強く豊かに』とわかりやすいスロ‍ーガンを掲げたことに加え、現下の物価高対策などの政策が評価された結果が優勢の要因だろう」と分析。中道については、結成の経‍緯を念頭に‌「きちんとした政策合意が後回しにされ、選挙目当ての新党だという批判が有権者に広がっている可能性がある」と話す‍。

一方、「選挙戦は始まったばかりで、高市氏や自民から失言、スキャンダル報道が出てくれば情勢が変わる」と指摘。「衆院選は1議席を争う小選挙区の結果が極めて重要だ。自民にとっては公明の支持を失ったことの影響や、支持層が重なる参政党が多数の候補を擁立した点も不確定要素になり得る」と語った。

主な政党の主張は以下の通り。

【自民党(公示前198)】政治の安定が不可欠。食料品は2年に限り消費税をゼロにする。財源は特例公債(赤字国債)に頼らない。安全保障3文書の改定やスパイ防止法の制定を急ぐ。

【日本維新の会(同34)】議員定数の削減、食品⁠消費税の時限的な減税の実現を目指す。自民のアクセル役として取り組む。

【中道改革連合(同167)】生活者ファーストの視点から政策を進める。消費税は食品に限り恒久的にゼロに。国債発行に頼らず財源を確保する。比較第1党を目指す。

【国民民主党(同27)】「政策実現野党⁠」の実績を訴える。政策本位、国民生活、経済最優先の新しい政治に変える。消費‍減税は物価高対策ではなく景気対策と位置付ける。

【共産党(同8)】富の一極集中に切り込んでこそ、大幅賃上げや消費減税ができる。大軍拡ではなく、国民第一の立場で暮らし、平和、人権を守り抜く。

【れいわ新選組(同8)】今回の衆院解散に大義はない。消費税廃止を第一に訴える。できるだけたくさんの議席を獲得したい。

【減税日本​・ゆうこく連合(同5)】真の独立国にふさわしい主権外交を展開。日米同盟を対等かつ新しい形へと深化。消費税は廃止一択。

【参政党(同2)】減税、積極財政、外国人問題、本気の少子化対策を訴える。高市政権があるべき方向に進むように外からチェックしていきたい。

【日本保守党(同1)】減税、間違った再エネ政策のストップ、移民問題を訴える。

【社民党(同0)】消費税ゼロ、社会保険料を半額にする。

【チームみらい(同0)】消費減税より社会保険料の減額を優先する。

(鬼原民幸、竹本能文 編集:橋本浩)

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