マクロスコープ:高市解散の勝算、自民「甘くない」 立民・公明は急接近
高市早苗首相。1月13日、奈良で代表撮影。REUTERS
Tamiyuki Kihara Yoshifumi Takemoto
[東京 14日 ロイター] - 高市早苗首相が23日召集の通常国会冒頭で衆議院を解散する方針を固めた。総選挙は27日公示、2月8日投開票を軸に調整する。急転直下の解散方針を受け、与野党とも急ピッチで選挙準備を進める。高市内閣は高い支持率を誇るものの、自民党内からは「甘くない」との声が漏れる。一方、ここにきて立憲民主党と公明党が急接近しており、選挙での共闘も辞さない構えだ。
<戦略は「高市首相の公認候補」>
「このまま選挙に突っ込んでいいのか非常に不安だ」。自民党関係者はこう話す。高市内閣の高支持率が必ずしも自民の支持につながっていないとの危機感があるからだ。共同通信の世論調査では、発足直後に64.4%だった内閣支持率は昨年12月調査でも67.5%と高水準を維持した。一方、自民の政党支持率はそれぞれ31.4%、31.1%と横ばい傾向が続いている。
理由は高市氏の個人的な人気にありそうだ。昨年の臨時国会では国民民主党などとも連携し「年収の壁」の引き上げなどに取り組んだ。もともと保守色が強い高市氏は、参政党支持層などからも一定の人気を集めているとされる。こうした「支持」は、選挙になればそれぞれの政党に流れていく可能性が高い。
前出の関係者は「内閣支持率が高いからといって選挙に勝てるほど甘い状況ではない」とした上で、「『自民党候補』ではなく『高市首相の公認候補』と有権者にアピールして回ることになる」と戦略を明かした。
<立民と公明「統一名簿」検討>
一方、ここにきてより動きが激しくなっているのが野党第1党の立民と、高市氏の党総裁就任を機に連立政権を離脱した公明だ。公明関係者は「フェーズが変わった」と語気を強める。
公明はもともと政策的に立民と近いとされながら、自民との連立で大臣ポストを得てきたことや、歴史的に溝がある共産党と立民が接近していた経緯などから距離が縮まらなかった。離脱直後は党内から「高市氏の次の自民党政権では再度連立する可能性がある」との声も聞かれていた。
ただ、状況は大きく動いている。立民幹部は「高市人気の陰で立民は完全に埋没状態だ。公明と共闘して臨めば自民に対抗できる」と意気込む。複数の両党関係者によると、両党は新たな一つの政治団体を創設し、比例代表の候補者を同じ名簿に登載する「統一名簿方式」で選挙に臨むことも検討しているという。
同方式は一つの政党になることと等しいとも言われ、仮に採用されれば公明は完全に自民と決別することになりそうだ。前出の公明関係者は「この選挙で自民が勝てば、憲法9条改正や武器輸出の拡大、非核三原則の見直し、議員定数削減までが認められたことになってしまう」と立民との接近理由を説明。近く開かれる党の幹部会合で正式に方針を決める考えを示した上で、こう述べた。「大激動の時代だ」
<専門家「選挙は党首力」>
選挙戦の見通しを専門家はどう分析しているのか。
元自民党幹部職員で政治評論家の田村重信氏は「公明党は高市氏の自民党総裁就任をきっかけに野党に転じたため、もともと次の選挙で自民と選挙協力をするわけにはいかなかった」とし、「その状況を見て選挙で一番厳しいと言われる立憲民主党が公明に手を伸ばしたという構図だ」と説明。「公明は特に地方議会で自民との協力関係が続いている。実体的には立民との選挙協力は現場ごとの判断になるだろう」と話す。
自民の勝算については、「(2024年10月の)前回衆院選では裏金問題もあり自民が負け過ぎている。今回は議席を増やす可能性が高いだろう。逆に前回議席を取り過ぎた立民は危ないということだ」と指摘。「選挙は党首力。高市氏の人気は圧倒的だ。政治に関心がなかった若者からも支持がある。『何か変えてくれそう』という期待感が高まれば、より自民にとって有利になるだろう」と語った。
(鬼原民幸、竹本能文 編集:橋本浩)
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