マクロスコープ:26年春闘、連合「5%超にこだわる」 米関税で黄信号と専門家

10月23日、連合は、2026年春闘の基本構想を発表した。写真は都心の夕暮れ。2023年11月、都内で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Kentaro Sugiyama Makiko Yamazaki
[東京 23日 ロイター] - 連合は23日、2026年春闘の基本構想を発表した。キーワードは「こだわる」。3年連続で5%以上を確保し、実質賃金をプラス圏に引き上げる構えだ。もっとも、米国の関税措置の影響で企業収益の下押しが予想され、民間エコノミストの間では4%台後半にとどまるとの見方が多い。今週始動した高市早苗政権の支援スタンスにも注目が集まる。
「日本の実質賃金を1%上昇軌道に乗せ、これからの『賃上げノルム』にしよう──」。連合は26年春闘の闘争方針のベースとなる基本構想で、こう呼びかけた。23年に3.58%だった賃上げ率(定期昇給分を含む)は、24年に5.10%、25年に5.25%と加速したものの、物価変動の影響を除いた実質賃金はマイナスが続き、「生活が向上したと実感している人は少数」(連合)との認識がある。
そのため、基本構想では26年も全体の賃上げの目安を「5%以上」とし、その実現にこだわるとした。連合幹部は、5%以上の賃上げを獲得した組合数が24年に36%、25年に43%へと拡大してきたと説明。「この5%以上の獲得組合を増やしていくために全力で取り組む。そういう意味で『こだわりの春闘だ』」と強調した。
芳野友子会長も「賃上げというものは1年で終わることはなく、着実に5%以上を積み重ねていくことが重要。賃上げが当たり前の社会を全国隅々まで定着させていくことも連合の役割」と、この日の定例会見で語った。
<エコノミストは4%台後半を予想>
もっとも、エコノミストの間では、米国の関税措置の影響で輸出企業を中心に収益の下押しが見込まれることから、賃上げ率は今年に比べて鈍化するとの見方が多い。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介チーフ日本経済エコノミストは、為替の円安もあって大崩れは免れるものの、自動車など輸出企業には関税によるコスト増の影響が残ると指摘。非製造業を含めて「全体としては4.5%から4.7%程度になるのではないか」とみる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎・主席研究員も「業績の良い企業と、そうでない企業で賃上げ幅に差が出やすい。加えて、物価の上昇ペースも先行き鈍化が予想されるため、企業側は以前のような大盤振る舞いをしにくい」といい、春闘賃上げ率は「4%台半ばから後半に落ち着く」との見方を示す。
<政府は公的部門で率先>
3年連続の賃上げ「5%以上」実現に「黄信号」がともる中、このほど発足した高市政権の政策効果が注目される。
21日の初閣議で行った総合経済対策に関する指示では、第1の柱に「生活の安全保障・物価高への対応」を据え、賃上げ関連として医療・介護職の処遇改善、中小企業の賃上げ環境の整備で重点支援地方交付金の活用、価格転嫁対策の徹底などを挙げた。
さらに、第2の柱として「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」を掲げ、官民が連携した積極的な投資で日本の社会課題を解決し、先端産業を開花させていくことで、日本経済の強い成長の実現を目指すとした。
第一生命経済研究所の星野卓也・主席エコノミストは、高市政権の政策について「政府が直接関われる医療・介護など公的サービス分野における処遇改善や、手取りを増やすための税制面の政策に重きが置かれているようにみえる」と指摘。可処分所得を底上げすることで家計を支えるアプローチと分析する。
その上で、医療・介護などの企業では組合が存在しないところも多く、連合集計の賃上げ率に反映されない部分もあるが、公的セクターで賃上げが進めば、毎月勤労統計で示される実質賃金を下支えする可能性も高いという。
三菱UFJリサーチの小林氏は「米国の景気や米中貿易摩擦の動向など、経済の下振れリスクが完全に払しょくされているわけではない」とし、来年2月に本格化する労使交渉まで楽観できないと話す。仮にそうしたリスクが顕在化した場合、連合の賃上げ率5%以上の確保もさらに厳しくなる可能性もある。
(杉山健太郎、山崎牧子 編集:橋本浩)
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