インタビュー:高市新首相、タカ派的言動も中韓外交は現実路線か=早大・中林教授

10月21日、早稲田大学の中林美恵子教授(政治学)はロイターとのインタビューで、高市早苗新首相の外交政策について、歴史認識などを巡るタカ派的な言動は右派を引き付けるための方便の可能性があるとし、中国、韓国との外交では現実路線を採るだろうとの見方を示した。写真は、衆議院で首相に選出され拍手を受ける自民党の高市早苗総裁。都内で21日撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Kentaro Okasaka
[東京 21日 ロイター] - 早稲田大学の中林美恵子教授(政治学)はロイターとのインタビューで、高市早苗新首相の外交政策について、歴史認識などを巡るタカ派的な言動は右派を引き付けるための方便の可能性があるとし、中国、韓国との外交では現実路線を採るだろうとの見方を示した。
対米外交については、トランプ米大統領が強い指導者を好む中、自身の顔で世界を引っ張っていける強力なリーダー像を示せるかどうかが問われているとした。
中林教授は米上院予算委員会の連邦公務員(共和党)として国家予算編成に携わった経験を持ち、日本では2009年から衆議院議員を1期務めたほか、財務省財政制度等審議会委員などを歴任した。
―高市新首相の外交政策の方向性をどう見るか。
外相や防衛相を経験しておらず、外交を実践した経験がないため、展望を予想するのは非常に難しい。ヒントになるのは、首相になっても必ず靖国神社に行くと言ってみたり、韓国などに非常に厳しい態度で臨んでみたりと、国内の右派から見れば気持ちが良い政策をずっと発信してきていたという事実だ。
ただ、今まで発言してきたことを変える可能性もあるからこそ読みづらい。今まで主張してきたことをそのまま実行するのか、現実路線に迎合していくのかという見極めが、過去のエビデンス(根拠)が少なすぎるため予測するのは非常に難しい。
―トランプ米政権との外交の展望については。
米国の識者たちは、安倍晋三元首相はタカの顔をしながら、実は体はハトだったという風に表現し、ごまかすのも良い意味で巧みだったと言う。日本国内ではタカ派を喜ばせつつ、外国に行くとそうではない顔を見せてバランスを取っていた。高市氏がそれをどの程度できるだろうか。
一つ言えるのは、米国はもう一国だけで同盟国を支えようとは思っていない。同盟国もそれぞれ自立してほしいというスタンスで、(米国の関心は)今後日本がどれくらい米国に協力するのかという点だろう。
米国からは、例えばロシアからLNG(液化天然ガス)を輸入しないよう求められている。80兆円規模の対米投資の詳細から何まで、米国からの要求がどんどん出てくる状況だ。安倍元首相の頃は個人的な関係でうまいこと逃れようとしてトランプ大統領とゴルフをしたりした。だがトランプ氏ももう2期目で、安倍氏のように(政治を)教えてくれる人が必要だという状況ではない。他の国の指導者も今ではトランプ氏の扱い方をよく分かっている。ドメスティックなアピールに終始してきた高市氏が、どこまで国際的信頼を得て、本人の顔で世界を引っ張ることができるかが問われる。
―高市氏とトランプ大統領の相性はどう見えるか。
トランプ氏は、初めて会う人には不動産のビジネスマンのように感じ良く振る舞ってくれるだろう。日本は重要な同盟国だとも認識している。問題は、トランプ氏はとにかく強いリーダーが好きで、高市氏が本当に日本を代表する強い指導者であるかどうかをトランプ氏は内心、見ているということだ。強いリーダーとは、これをやりますと言えば、それを実行できる体制を持っていることだ。それだけの国民や自民党内の支持、野党も打ち負かすだけのパワーを持ってやっているのかどうかということが重要になる。
―中韓両国との外交についてはどうか。
靖国神社参拝や歴史問題でタカ派的言動を見せてきたが、良い意味で意外に信念がなく、右派を集めるための口先だけのものだった可能性をにじませている。今後もいろんな局面が出てくるだろうが、今まで言ってきたことを本当に実行するなら日本の安全保障にとって非常に由々しき状態になるので、信念がないほうがまだ安定するというのが現実だ。願わくは現実路線になってほしいが、そうなればなるほど、自分の岩盤支持層である極右を固めたいが故に口ばかりだったことが明らかになってしまう。
海外メディアの取材には「日本は安定しているから心配ない」「信念はないから大丈夫だ」と説明した。少なくとも政治(外交)は1人ではできないので、多くの(関係者の)力が加わり、現実に合わせていくのではないかと想像するし、希望する。来週のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、習近平国家主席や李在明大統領と笑顔で握手し、これから頑張って連携しようと(無難な言葉を)言うのではないか。
―日本初の女性首相となる。外交に影響はあるか。
女性首相という点は、世界ではもう珍しくない。日本側はそれを「日本の変化」ということで最大の外交カードとして利用して当然だろう。ただ、教育勅語を尊重すべきだという主張や、政治とカネの問題への対応を見てもかなり「昭和回帰」な側面が見られる。
ノーベル平和賞を受賞したベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏らのように信念を持って何かを変えていく運動に関わったような人たちとはかなり違うということを、海外のメディアも気づくだろう。そうなると、初の女性首相という部分は歯が浮いたようになってしまうのではないか。
(聞き手・岡坂健太郎 編集:久保信博)
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