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WHO、飢餓による子ども発育影響懸念 ガザ、物資搬入停止で

2025年05月14日(水)01時32分

世界保健機関(WHO)の高官は13日、イスラエルが3月初めから物資搬入の停止が続けるパレスチナ自治区ガザで、栄養失調に陥る子どもが増え、治療体制も不十分な状況にあるとして、飢餓が長期的な影響を及ぼす可能性があると警告した。写真は8日、ガザ地区北部ベイト・ラヒヤで撮影(2025年 ロイター/Mahmoud Issa)

[ジュネーブ13 日 ロイター] -  世界保健機関(WHO)の高官は13日、イスラエルが3月初めから物資搬入の停止が続けるパレスチナ自治区ガザで、栄養失調に陥る子どもが増え、治療体制も不十分な状況にあるとして、飢餓が長期的な影響を及ぼす可能性があると警告した。

ガザでの状況に関し、約50万人が危機に直面していると警告も出されている。イスラエルは米国が支援するガザ地区への援助物資供給計画に基づき、中立的な場所から物資を供給すると説明しているが、WHOは12日、ガザ住民の差し迫った状況を踏まえれば「極めて不十分だ」と批判する声明を出した。

WHOのガザ・ヨルダン川西岸代表リック・ピーパーコーン氏は13日、テレビ会議を通じて記者会見し、ガザ北部の病院で検査を受けた子どもの2割以上が急性栄養失調の状態だと指摘。「栄養のある食料、清潔な水、医療へのアクセスが十分でなければ、多くの子どもが長期に及ぶ影響を受ける」とし、発育不全や、認知機能発達への悪影響を警告した。

物資搬入停止により、WHOの在庫は必要量のごく一部にとどまるとも指摘。ガザ保健当局のデータを基に、既に55人の子どもが急性栄養失調で死亡したとも述べた。胃腸炎や肺炎などで多くの子どもが入院しており、食料不足による免疫力低下でこうした病気が命にかかわりかねないと強調した。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長は13日、英BBCに対し、イスラエルが戦争の武器とするため、民間人への食品や支援を拒否しているとの考えを明らかにした。

ロイター
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