ニュース速報
ワールド

中国、地方隠れ債務対策に10兆元 直接資金は米次期政権まで温存か

2024年11月08日(金)21時18分

 11月8日、中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、6兆元(8387億7000万ドル)規模の地方政府「隠れ債務」対策を承認した。広東省恵州で10月10日撮影(2024年 ロイター/Nicoco Chan)

[北京 8日 ロイター] - 中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、経済のシステミックリスクとなっている地方政府の「隠れ債務」について10兆元(1兆4000億ドル)規模の対策を決定した。藍仏安財政相は一段の景気支援策を今後発表するとした。

隠れ債務と呼ばれる簿外債務と交換するため地方政府の債務上限を今後3年間で6兆元引き上げる。さらに承認済みの4兆元の発行を5年間で債務交換に充てることを認める。

経済への直接資金投入ではないため、中国はトランプ次期米政権の方針を見極めるまで追加策を温存するとの見方がエコノミストからでている。

全人代常務委員会は、地方政府の特別債発行上限を29兆5200億元から35兆5200億元へ6兆元引き上げることを承認した。

全人代金融経済委員会の徐洪才副主任は8日の会見で、隠れ債務の交換は地方債務リスクの解決を狙った措置と述べた。

藍財政相は会見で、地方政府の隠れ債務は2023年末時点で14兆3000億元だと明らかにした。これを28年までに2兆3000億元に圧縮することを目指す。

債務交換は地方政府の金利負担を5年で6000億元軽減することが見込まれる。

藍財政相は、公的部門による売れ残り集合住宅の購入や未開発住宅用地の取得、大手国有銀行への資本注入に向けた施策を打ち出すと説明したが、規模や時期などは明らかにしなかった。

地方政府債務対策としての債務交換は成長安定化に寄与するが経済成長に弾みをつける措置ではない。

上海安放私募基金の調査ディレクター、Huang Xuefeng氏は「予想を超える内容はない」とし「景気減速や土地売却の落ち込みによる財政不足を考えると規模は大きくない。隠れた債務を好感するために資金が投じられる。つまり新たなワークフローが生まれるわけでなく、成長を直接支援しない」と指摘した。

UBPのアジア担当シニアエコノミストは、売れ残り住宅の在庫減と満期を迎える地方融資平台(LGFV)債務の返済には23兆元のパッケージが必要と推計。今回発表された措置は「必要なのは本質的な措置で市場は失望するだろう」と述べた。

ANZのストラテジストは、財政への直接刺激策がなかったことについて、当局がトランプ政権発足の影響を後に考慮する余地を残していることを示唆しているとの見方を示した。

財政相は、製造設備更新の支援強化や、家電製品などの購入への消費者補助制度拡大の方針を明らかにした。

UBPのエコノミストは、消費を直接対象とした財政刺激策が近く実施されるとは思わないと指摘。実現には一段の痛みが必要だとし、「トランプ大統領の方針がより明らかになるまで力を温存する」との見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国、仏の対中関税提言に反発 対抗措置示唆

ワールド

ハイネケン、最大6000人削減へ ビール需要低迷

ワールド

カタール首長がトランプ氏と電話会談、緊張緩和協議 

ワールド

欧州評議会、元事務局長の免責特権剥奪 米富豪関連捜
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 7
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 8
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 9
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 10
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中