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UAW、トランプ・マスク両氏に苦情 「対談中に従業員を脅迫」

2024年08月14日(水)13時05分

全米自動車労働組合(UAW)は13日、米共和党の大統領候補トランプ前大統領と米実業家イーロン・マスク氏(写真)に対する苦情を全国労働関係局(NLRB、日本の労働委員会に相当)に提出したと発表した。2022年3月撮影(2024年 ロイター/Patrick Pleul/Pool via REUTERS)

Nora Buli Daniel Wiessner

[デトロイト 13日 ロイター] - 全米自動車労働組合(UAW)は13日、米共和党の大統領候補トランプ前大統領と米実業家イーロン・マスク氏に対する苦情を全国労働関係局(NLRB、日本の労働委員会に相当)に提出したと発表した。 

両氏が12日にXで対談中に従業員を脅迫、威嚇するような発言をしたとしている。NLRBがトランプ氏に対して措置を講じるかどうかは不明。

UAWは大統領選で民主党候補のハリス副大統領を支持し、約40万人の組合員に対し同氏に投票するよう呼びかけている。

トランプ氏は対談で、人員削減を巡りマスク氏を称賛するような発言を行った。「あなたは最高のカッター(削減者)だ」とし、他社では労働者がストライキを起こすが、「あなたは『全員クビだ』と言う」と指摘した。    

UAWは、連邦法では労働者がストライキを理由に解雇されることはなく、解雇すると脅すことは違法だと指摘した。    

オバマ政権でNLRBの局長を務めたウィルマ・リーブマン氏は、マスク氏は笑ったもののトランプ氏の発言には反応しなかったため、自社の従業員に違法な脅迫をしたことを理由にNLRBが同氏の責任を問うことは難しいとの見方を示した。

UAWのショーン・フェイン会長は、トランプ氏もマスク氏も労働者階級の人々の発言力を軽視しており、それを公然と笑いの種にしたと指摘。「この2人の道化師の行動は不快かつ違法であり、全くもってこの2人らしい」と述べた。

マスク氏はソーシャルメディアへの投稿で、過去に汚職で有罪判決を受けた2人の労組トップに言及し、フェイン氏も名を連ねそうだと記した。

トランプ氏はフェイン氏とこれまでにも激しい口論を繰り広げてきた。トランプ氏は米国の自動車製造業が弱体化している責任は組合幹部にあるとして、フェイン氏の解任を要求したことがある。

違法な労働慣行を処罰するNLRBの権限は限られており、処罰のプロセスは何年もかかることが多い。またNLRBは雇用者としてのトランプ陣営に対しては管轄権を持っているが、トランプ氏自身に対しては管轄権はない。

リーブマン氏は「NLRBの救済措置がそもそも無力なことは周知の事実だ。これは救済措置というよりも、政治的メッセージと(労組の)組織に対するメッセージを送るためのものだ」と述べた。

ロイター
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