北朝鮮が砲弾200発発射、韓国軍も実弾演習 延坪島に避難命令
Ju-min Park Soo-hyang Choi
[ソウル 5日 ロイター] - 北朝鮮は5日、韓国との事実上の海上の国境である北方限界線(NLL)付近で約200発の砲弾を発射。これに対応し韓国も実弾演習を実施した。
韓国軍によると、砲弾は韓国との事実上の海上の国境である北方限界線(NLL)の北側に落下。韓国側で被害の報告はないとした。
韓国軍合同参謀本部の報道官は北朝鮮の砲弾発射を「朝鮮半島の緊張を高め、平和を脅かす挑発行為だ」と非難。米軍と協力して北朝鮮の沿岸部を監視しており、北朝鮮の行動に対し「相応の措置」を講じると述べた。
韓国国防省はその後、北朝鮮の砲弾発射に対応して実弾演習を実施したと発表。実弾演習後に北朝鮮側の異常な動きは見られないと述べた。
一方、北朝鮮国営朝鮮中央通信(KCNA)は5日夜、砲弾発射は韓国の「軍部ギャング」による軍事行動に対する「当然の反応」とし、韓国が挑発的な動きを続ければ「前例のない強力な対応」を取るとした。北朝鮮軍参謀の話として、訓練の一環で沿岸防衛部隊が192発を発射したと伝えた。
<延坪島に避難命令>
NLLの南にある韓国の延坪島の住民には軍の要請で避難命令が出されていた。地元当局者によると、同じくNLLの南にあり、延坪島の西に位置する白ニョン島にも避難命令が出た。
この時点で韓国国防省は、避難命令が北朝鮮の砲弾発射によるものか、これを受けた韓国軍の演習によるものなのか確認なかった。ただ島民向けメッセージでは、韓国軍が現地時間午後3時(日本時間も同)から「海軍の射撃訓練」を行うとしていた。
また韓国軍はこれに先立ち、訓練によるものか明らかにせずNLL付近の「ある事態」により、海上で軍による発砲があったことを島側に伝えていた。
延坪島の人口は駐在兵を含め約2000人。ソウルの西約120キロメートルに位置する。2010年11月には北朝鮮が同島に砲弾を撃ち込み、民間人2人を含む4人が死亡。北朝鮮側は当時、韓国軍の実弾演習で砲弾が領海内に落下したため、攻撃したと主張している。
梨花女子大のリーフエリック・イーズリー教授(国際関係)は北朝鮮軍が冬季訓練の一環としてこの地域で砲撃を行うのは珍しいことではないと指摘。その上で「例年と異なるのは金正恩朝鮮労働党総書記が韓国との和解と統一を公に否定したことだ」と述べた。





