ニュース速報

ワールド

モルドバ東部親ロ派地域で爆発、大統領「不安定化狙う域内からの企て」

2022年04月27日(水)01時01分

モルドバのサンドゥ大統領は26日、東部トランスニストリア地域で起きた2回の爆発によりソビエト時代の電波塔が被害を受けたことを受け、緊急の安全保障会議を招集した。被害を受けた電波塔、トランスニストリア内務省の提供写真。(2022年 ロイター)

[キシナウ/キーウ 26日 ロイター] - モルドバのサンドゥ大統領は26日、東部トランスニストリア地域で起きた2回の爆発によりソビエト時代の電波塔が被害を受けたことを受け、緊急の安全保障会議を招集した。当局によると軍部隊も標的になっていた。

サンドゥ大統領は会見で「現時点で入手された情報によると、地域の不安定化を狙うトランスニストリア域内の戦争推進派の企て」という認識を示した。

ドニエストル川東岸の同地域はウクライナ南西部に接し、「ドニエストル共和国」として親ロシア派が支配している。ロシアはソビエト連邦の崩壊以降、軍隊を常駐。モルドバ当局は緊張激化に神経をとがらせており、ウクライナは新たな攻撃拠点に利用されることを懸念している。

ドニエストル当局によると、26日早朝にグリゴリオポル地区マイアック村で2回の爆発があった。負傷者はいなかったが、ロシアのラジオを放送する2つのアンテナが破壊されたという。

また、ロシアのタス通信によると、ドニエストルの安全保障評議会は、ティラスポリ市近郊の軍施設への「テロ攻撃」を報告。詳細は明らかにしていない。ロシア大統領府の報道官は深刻な懸念とし、状況を注視すると述べた。

さらにドニエストル当局は、攻撃の起源がウクライナである可能性があるとし、「トランスニストリア地域を紛争に引きずり込むことが目的と思われる」と述べた。

一方、ウクライナの大統領顧問は一連の爆発について、トランスニエストリア地域の不安定化を狙うロシアの試みとして非難した。

ウクライナ外務省もオンラインに掲載した声明で「ウクライナ南部を占領し、モルドバのトランスニストリア地域への陸路を確立する計画に関するロシア軍司令部の声明と一致する」と指摘。ウクライナはモルドバの領土保全を支持するとし、「ウクライナに対する全面的な侵略にモルドバのトランスニストリア地域を巻き込むロシアの試みを非難し、緊張緩和を呼びかける」とした。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで

ワールド

イスラエル、米兵器使用で国際法違反の疑い 米政権が

ワールド

北朝鮮の金総書記、ロケット砲試射視察 今年から配備
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加支援で供与の可能性

  • 4

    過去30年、乗客の荷物を1つも紛失したことがない奇跡…

  • 5

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカ…

  • 6

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 7

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 8

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中