ニュース速報

ワールド

米弾劾裁判の民主党、トランプ氏主張のバイデン氏不正疑惑に反論

2020年01月24日(金)11時39分

 1月23日、米議会上院でのトランプ大統領の弾劾裁判は、検察官役を務める下院民主党による2日目の冒頭陳述を行い、議員らは、大統領選の同党の有力候補、バイデン氏が副大統領在任中にウクライナに不適切な行動を取ったとのトランプ氏の以前からの主張に理路整然と反論を試みた。写真は配信動画からの抜粋(2020年 ロイター/Senate TV)

[ワシントン 23日 ロイター] - 米議会上院でのトランプ大統領の弾劾裁判は23日、検察官役を務める下院民主党による2日目の冒頭陳述を行い、議員らは、大統領選の同党の有力候補、バイデン氏が副大統領在任中にウクライナに不適切な行動を取ったとのトランプ氏の以前からの主張に理路整然と反論を試みた。

民主党議員らは、バイデン氏が政治腐敗への懸念を理由に、ウクライナ政府にビクトール・ショーキン検事総長(当時)を解任するよう圧力をかけたのは、米政府の方針に沿った措置だったと主張。

トランプ氏側はバイデン氏が、息子ハンター・バイデン氏が取締役を務めていたウクライナの天然ガス会社ブリスマ社への調査を阻止するため、ショーキン氏の解任に動いたと主張してきた。

民主党側は、この主張を裏付ける根拠はないと強調。トランプ氏がウクライナ政府にバイデン氏の不正疑惑を捜査するよう圧力をかけた本当の理由は、今年の大統領選でバイデン氏と対決するのを恐れていたからだと強調した。

同党のシルビア・ガルシア下院議員は、トランプ氏が「自らの政治的メリットのためだけに」捜査を要求したと論じた。

同議員によると、バイデン氏が2019年の早い段階に大統領選への出馬を表明するまでは、トランプ氏がウクライナに汚職捜査を要求することはなく、同国への軍事支援も支持していた。

トランプ氏がウクライナにバイデン親子の捜査を要求する数カ月前の世論調査では、バイデン氏がトランプ氏と大統領選で戦うことになれば、バイデン氏が勝つとの結果が出ていたと指摘し、「これに気付かなかったはずはない」と述べた。

トランプ氏は23日のツイッターへの投稿で、弾劾裁判の手続きは「不公正で腐敗している」と批判した。

<大統領は弾劾に値する>

下院司法委員会のナドラー委員長は共和党のリンゼー・グラム上院議員の過去の弾劾審議での発言などを引き合いに出しトランプ大統領の行為は弾劾に値すると主張した。

ナドラー委員長はグラム議員が民主党のクリントン元大統領に対する1999年の弾劾審議で行った発言のビデオを議場で再生。ビデオでグラム議員は、問題の行動が法律上の犯罪行為でなかったとしても大統領を弾劾することはできると主張している。

ナドラー氏はこのほか、トランプ氏の弁護団の一員のアラン・ダーショウィッツ氏の1998年の発言を収録したビデオも再生。ビデオの中でダーショウィッツ氏は「権力乱用」は弾劾の根拠になるとの見解を示している。

ナドラー氏は「弾劾は犯罪行為に対する処罰ではない」とし、「弾劾は政治システムに対する脅威に対応するために存在しており、対象は政治的な当局者のみで、禁錮刑や罰金を課すのではなく、政治権力を剥奪することで対応される」と指摘。「トランプ大統領の行為は米国第一主義ではない。ドナルド・トランプ第一主義だ」と批判した。

<トランプ氏弁護団は25日にも反論開始へ>

この日の民主党による冒頭陳述は予定される3日間のうち2日目。その後、トランプ氏の弁護団は25日にも反論を開始する可能性がある。

共和党議員の一部はこれまで、ボルトン前米大統領補佐官などによる証言を認める代わりに、バイデン親子の両方あるいはどちらかの証言を来週に開くことを提案したが、民主党側は拒否した。

弾劾裁判に対する国民の関心が既に薄れつつある兆しもある。冒頭陳述の2日目で上院の傍聴席には空席が見られ、ニールセンの視聴率調査によると、冒頭陳述1日目の22日にテレビ中継を視聴したのは約890万人と、21日の審理初日の1100万人から大幅に減った。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイとカンボジアが停戦に合意=カンボジア国防省

ビジネス

NY外為市場=円が軟化、介入警戒続く

ビジネス

米国株式市場=横ばい、AI・貴金属関連が高い

ワールド

米航空会社、北東部の暴風雪警報で1000便超欠航
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中