ニュース速報

ワールド

米、イランとの条約締結交渉に意欲 ミサイル開発など対象に=特使

2018年09月20日(木)10時20分

 9月19日、米国務省のイラン特使ブライアン・フック氏は、米政府がイランとの間で、同国の弾道ミサイル開発や中東地域での影響力などを制限対象とする新たな条約締結交渉を模索していることを明らかにした。写真はイラン国旗。2011年4月にテヘランで撮影(2018年 ロイター)

[ワシントン 19日 ロイター] - 米国務省のイラン特使ブライアン・フック氏は19日、米政府がイランとの間で、同国の弾道ミサイル開発や中東地域での影響力などを制限対象とする新たな条約締結交渉を模索していることを明らかにした。

同氏はシンクタンクのハドソン研究所で講演し、「イランと新たな合意に署名できることを望んでいるが、前回の合意のように単なる2国間政府による取り決めではなく、条約の締結を目指す」と語った。

米国は2015年にイランが欧米など6カ国と結んだ核合意からの離脱を表明しているが、ポンペオ米国務長官は5月にイランに対して核・ミサイル開発の放棄など12項目を要求し、イランが米国の要求を受け入れなければ「史上最強」の制裁措置を導入する可能性があると警告している。

フック氏が言及した条約は米上院の承認が必要で、米国のイラン政策の新たな焦点となる可能性がある。

2015年の核合意は条約の形を取らない行政合意と位置付けられており、議会の採決にかけられることもなかった。これに対し、条約は上院の承認が必要。

核合意の反対派の間では、オバマ前大統領がイラン核合意に関して上院の承認を得る手続きを踏まなかったために、トランプ大統領が一方的に離脱することが可能になったとの指摘がある。

トランプ大統領は国連総会に伴い安全保障理事会で来週開かれるイラン問題を話し合う会合で議長を務める予定。トランプ氏は7月にイラン指導部と前提条件を設けずに会談する用意があると述べており、来週の国連会合で会談が実現するとの観測が浮上していた。

ただ、フック氏はイランの最高指導者ハメネイ師やロウハニ大統領、ザリフ外相がともに、協議に関心がないことを示していると指摘。「われわれは(イラン指導部の意向を)尊重するが、それで米国の方針が変わることはない。制裁態勢が進行中で、さらに強力な措置が控えている」と語った。

同氏は、11月4日にイラン産原油を標的とする制裁を再発動するのを前に、米政権が各国にイラン産原油輸入の大幅削減を求める外交的取り組みを強化していると述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英が貿易協定で合意=トランプ氏

ビジネス

貿易戦争の長期化、カナダ経済と金融安定性への脅威=

ワールド

米国務長官がパキスタン首相に電話、紛争緩和へ印との

ビジネス

米労働生産性、第1四半期速報値は0.8%低下 約3
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 8
    日本の「治安神話」崩壊...犯罪増加と「生き甲斐」ブ…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 10
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中