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アングル:金融市場にも「脱米国」の動き、堅調見込める分野を模索

2026年02月13日(金)14時13分

写真はトランプ米大統領。2月9日、ワシントンのホワイトハウスで撮影。REUTERS/Annabelle Gordon

Dhara Ranasinghe Sophie Kiderlin

[ロ‌ンドン 12日 ロイター] - かつて米国が経済・貿易・安全保障の面で主導し‌てきた世界秩序がトランプ米大統領によって揺さぶられ、同盟国を行動へと駆り立ててい​る。金融市場もその変化を捉え始めている。

投資家にとって、対米国にとどまらない、より積極的な政策や通商協定の動きが見え始めていることは、米国以外の株式市場やエ⁠ネルギー株への投資比率を高め、ユーロやカナダ​ドルに強気の姿勢を取る「後押し」となっているという。

カナダのカーニー首相は1月の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で演説し、「中堅国(ミドルパワー)が協調して行動すれば、米国の覇権に振り回されることを避けられる」と主張。欧州中央銀行(ECB)は今週開かれるミュンヘン安全保障会議でユーロの国際的役割を強化する計画を示す予定だ。

プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャ⁠ー氏は「トランプ氏は米国を世界から切り離してしまったが、その結果として世界のマクロ経済環境はむしろ強まっており、投資家はその動きに反応している」と指摘。「これは米資産を売れという話ではなく、米国の外にも投資機会は十分⁠にあることを​思い起こすべきだということだ」と述べた。同社は国際株式への注力をさらに高めており、欧州とアジアでは企業の利益成長モメンタムが良好だという。

JPモルガン・プライベート・バンクのグローバル投資ストラテジスト、マディソン・ファラー氏は、米国例外主義からの転換が進む中、主要株式市場および新興国市場は今年、2桁の増益率が見込まれると述べた。

LSEG I/B/E/Sによると、欧州STOXX600指数構成企業52社の2025年第4・四半期利益は市場予想超えが73%強となり、通常の54%を大きく上回っている。海外銘柄を多く含むFTSE100指数は初めて1万ポイントを突破。年初来の上昇率はすでに5%と、S&P総合500種の1.4%を大幅に上回った。

BNPパリバによると、昨年5月に立ち上げ、6億ユーロ(7億1330万ドル)規模となっている同社の「欧州⁠戦略的自立ファンド」は、欧州の大規模投資計画を背景に、防衛、産業の強靱性、資源の自立、そして技術‌といったテーマに投資している。

とはいえ、米国との通商を完全に置き換えるのは難しい。欧州連合(EU)によるインドや南米メルコスル(南部共同⁠市場)と⁠の通商協定、カナダと中国の初期的な合意といった非米国の枠組みは、象徴的な意味合いこそあるものの、実際の経済効果が表れるまでには時間がかかるだろう。

<いまこそ結束を>

新型コロナ危機、ロシアのウクライナ侵攻と米国の戦争終結への関与、さらにトランプ氏の関税政策によって、グローバルなサプライチェーンと経済的依存の脆弱性が浮き彫りになり、各国に結束を促してきた。

最近ではトランプ氏から「デンマーク自治領グリーンランドを巡る脅し」まで飛び出し、こうした流れが加速。‌各国が財政刺激策を打ち出し、EUが共同債発行の拡大を検討する材料にもなっている。

防衛関連株は22年2月以降で200%も上昇する「勝ち組」​で、英国は‌今や数十億ユーロ規模の第2のEU防衛基金への参加を検⁠討している。

チューリッヒ保険グループのユーロ圏市場戦略部門責​任者、ロス・ハッチソン氏は、地政学の長期的な構造変化は投資対象にしにくいものの、重要資源の確保と人工知能(AI)インフラ拡大を背景に、エネルギー生産分野が市場で存在感を強めていると述べた。「レジリエンス(供給の強靱性・エネルギー安全保障)の観点から、今後こうした設備拡張が多くの国で進んでいくという見方が強い」と指摘。欧州のエネルギー株が08年以来の高水準に近づいていることに言及した。

アリアンツ・グローバル・インベスターズのチーフエコノミスト、クリスティアン・シュルツ氏も、‌欧州はデジタルサービス、安全保障、医療といった分野でもより広範な主権強化に向けた取り組みを強める可能性があるとみている。

<メイド・イン・ヨーロッパ>

欧州委員会のセジュルネ副委員長(産業政策担当)は最近、鉄鋼大手アルセロールミタル、​製薬大手ノボノルディスク、タイヤメーカー・コンチネンタルなどのトッ⁠プと連名で新聞に寄稿し、 「メイド・イン・ヨーロッパ」戦略を推進すべきだと主張した。この戦略は、欧州域内で製造される製品に一定以上の「欧州産の材料・部品」を含めることを義務付けるものだが、EU加盟国の間で意見が割れている。それでも、通商政策や財政支出を通じて成長力を高めようとする中長​期的な取り組みは、今後も続くテーマだとアナリストは口をそろえる。

マッコーリー・グループの為替・金利ストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏は、規制緩和や官僚主義の縮小、成長志向の財政政策が実現すれば、カナダドル、円、ユーロなどが恩恵を受ける可能性があると指摘。JPモルガン・プライベート・バンクのファラー氏は「中堅国が戦略的自律性を手にし、自国の利益やその時々の状況に合ったパートナーシップを積極的に築き始めている」と述べた。

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