インタビュー:圧勝の高市自民、最大の難敵は中国よりも「マーケット」=ピクテ・ジャパン 市川氏
2月8日、東京都内の自民党本部で当選確実となった候補者の名前に造花を貼る高市早苗首相。代表撮影。REUTERS
Yusuke Ogawa
[東京 9日 ロイター] - 8日投開票の衆院選で自民党が圧勝し、単独で3分の2(310議席)を超える議席数を確保した。自民が支持を大きく伸ばした背景や、今後の政権運営の注目点を識者に聞いた。
<ピクテ・ジャパン シニア・フェロー 市川眞一氏>
――自民党は316議席を獲得した。この結果をどう見るか。
正直、驚いた。世論調査で高市早苗政権の支持率は高水準を維持していたので、単独過半数は十分にあり得ると思っていた。しかし、まさか3分の2を超えるような結果になるとは全く予想していなかった。これまで国民民主党や参政党、日本保守党に流れていた保守層や若い世代の票が、高市政権に集まったのだろう。新型コロナウイルス禍をきっかけとしたデフレからインフレへの急激な変化の中で、中間層の経済的不満がたまっており、民意の振れ幅が大きくなっている。
中道改革連合の惨敗は、政策的な争点を作れなかったことに尽きる。目玉の「食料品の消費税率ゼロ」は、自民や日本維新の会に「2年間限定」という条件付きで並ばれてしまった。さらに、財源として掲げた「政府系ファンドの運用益」が、かえって「怪しい」と思われてしまったのではないか。高市氏も財源を明確に示したわけではないが、中道側が示した中身があまりにお粗末だったため、政権担当能力を疑問視されてしまった。
――高市首相の強気の対中姿勢も、保守層の支持を集めた要因か。
高市氏は昨年11月の国会答弁で、台湾有事を巡って、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態になりうる」と発言した。これ自体は踏み込みすぎた発言だったと思うが、中国側がレアアース(希土類)の輸出規制や渡航自粛要請を行ったことで、保守層には「高市さんは中国と戦っている」と映ったはずだ。
ただ、難しいのはこれからだろう。日本側の政権基盤が安定したことで中国が融和的になる可能性もある一方で、これまで以上に厳しい対応を取ってくる可能性がある。対中ビジネスの不透明感が増す中で、日本経済へのマイナス影響をどう上手く回避していくかが重要なポイントになる。
――政権運営の懸念点は。
高市首相にとって最大の難敵は中国よりも「マーケット」に違いない。特に、金利と為替の動向には要注意だ。衆院選で国民の信任は得られたかもしれないが、市場の信任まで確保したわけではない。2026年度内の消費税減税を目指す方針だが、これは最大の財源に穴を開けることを意味する。今後は、選挙戦で強調した「積極財政」だけでなく、その財源をどう作るかという「責任ある」の部分を明確に示し、市場と丁寧に対話していくことが求められる。
また、財政悪化への不安から意図せざる円安が加速すれば、輸入物価の上昇を通じて、かえって食品価格を押し上げてしまう可能性がある。そうなれば、支持者離れを招きかねない。
(聞き手・小川悠介 編集:橋本浩)
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