FRB、パンデミックで内部対立と独立性懸念が浮上=FOMC議事録詳報
写真は米FRBのパウエル議長。2025年2月、ワシントンの連邦議事堂で撮影(2026年 ロイター/Craig Hudson)
[16日 ロイター] - 2020年の新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)の初期、米連邦準備理事会(FRB)は政策金利を引き下げ、巨額の国債と住宅ローン担保証券(MBS)の購入を通じて金融市場に大量の流動性を供給し、新型コロナ危機に伴う経済的な打撃を相殺しようとした。
16日に公開された20年のFOMC議事録詳報によると、FRBのパウエル議長は当初想定された以上に大きな内部の意見対立を抱えながらこうした措置を進めていたことが明らかになった。
また、議事録詳報は物価抑制と雇用の最大化の達成に重要とされるFRBの政治的独立性の維持を巡る懸念が、新型コロナ禍に対処する上で市場介入や政府との協調のあり方にどのように影響したかも示している。
こうした議論は現在の状況にも深く関係している。トランプ政権はパウエル氏に対し大統領の意向に従うよう圧力を強める一方で、パウエル氏と多くの同僚、前任者、ウォール街の最高経営責任者(CEO)、世界の中央銀行総裁、さらには与党共和党内の一部が抵抗しているからだ。
新型コロナが中国から世界に拡大し金融市場を混乱させ始めた20年3月、FRBは月前半に2回会合を開き、累計で150ベーシスポイント(bp)の利下げと数千億ドル規模の国債・MBSの購入を決定した。
3月3日の緊急会合は全会一致で50bpの利下げを決定。続く15日の通常会合はクリーブランド地区連銀のメスター総裁だけが100bpの追加利下げに反対票を投じた。しかし議事録詳報によると、アトランタ地区連銀のボスティック総裁、ダラス地区連銀のカプラン総裁、FRB金融規制担当のクオールズ副議長の3人も当初完全に納得していなかった。
クオールズ氏は懸念を示した際に「政策金利を引き下げても学校は開かないし、米プロバスケットボールNBAのシーズンも終わらない」と皮肉を述べたが、最終的に賛成票を投じた。
ボスティック氏もまた議会やトランプ政権が大規模な財政刺激策を早期に打ち出すと示唆している状況から「急激に一段の金融緩和を進める緊急性は低い」と述べた。
両者はメスター氏が主張したように、大規模な利下げが過度の警戒感を伝え、状況を安定させようとするFRB自身の努力を損なう可能性があるだろうと懸念した。カプラン氏はこうした論点に共感を示したが最終的に利下げ支持に回った。
パウエル議長は大幅な利下げと資産購入の必要性を強く主張し「今日出し惜しみしても何の役にも立たないと思う」と述べた。
FRBは実際、さらに踏み込んでその日のうちにミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁の提案を採用し、資産購入について上限額を特定せずに必要なだけ無制限に買い入れると約束した。
カシュカリ氏は「やりすぎなくらいがちょうどよい」と主張し、FRBの政策立案者がその後数カ月にわたり繰り返して公言する中心的な考え方となった。
カシュカリ氏は同時にこうした積極策がFRBの独立性を損なう可能性があると示唆し「われわれは自らの役割の範囲を逸脱せずに、経済を支援できるようにどのように政策を設計するべきか注意を払う必要がある」と警告した。
フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁はさらに率直に「国家非常事態の宣言下という事情を考慮すれば、われわれの行動は政治的な圧力に屈したと見なされかねない」と述べた。ハーカー氏は、FRBの行動が刺激策でなく救済を目的としていると一貫した形で説明することが重要だとも言及した。
ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は「金利をゼロ以上に維持するため、米財務省に財務省短期証券の発行の増加を促すよう検討してもよい」と述べたが、この案が議論された形跡はほとんどなかった。
FRBの独立性を巡る懸念が夏までに会合で広く議論されるようになり、その懸念こそが、ブレイナード副議長が次の政策ステップとして提案していた「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の導入を踏みとどまった主な理由だった。
YCCは長期金利に上限を設けて景気をより強力に押し上げることを目的としているが、セントルイス地区連銀のブラード総裁は6月会合で「中央銀行の独立性と相容れない可能性がある」と述べ、複数の政策立案者がこの見解に同意した。
FRBは議論の結果、YCCに関する提案の採用を見送った。
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