ニュース速報
ビジネス

米IT大手、巨額の社債発行相次ぐ AI資金調達で債券市場変化も

2025年11月25日(火)02時35分

米グーグルのロゴ。2021年11月17日、米ニューヨーク・マンハッタンで撮影。REUTERS/Andrew Kelly

Davide Barbuscia

[ニューヨーク 24日 ロイター] - 米IT大手が人工知能(AI)関連投資拡大の資金調達を目的とする債券発行を急増させている。4社が過去2カ月で公募債を計約900億ドル発行。全体で9兆2000億ドル程度とされる米社債市場を大きく変える可能性があるほか、投資家はIT大手の債務負担増に警戒感を強めている。

米グーグルの持ち株会社アルファベットは250億ドル、米メタ・プラットフォームズは300億ドル、オラクルは180億ドルの社債をそれぞれ発行。直近ではアマゾン・ドット・コムが150億ドルを債券市場から調達した。

複数のアナリストは、IT大手がAIデータセンターの資金調達を急ぐ中、来年は発行額がさらに増えると予想している。JPモルガンのアナリストは最近、今後5年間で1兆5000億ドル規模のAIデータセンター向けの債券発行が見込まれ、2030年までに投資適格債券市場の2割を上回る可能性があると試算した。

米投資会社ダブルラインの幹部ロバート・コーエン氏は、データセンター向けの投資が投資適格市場に流入する動きについて「実績のない大規模な新たな部門が出現すれば、投資適格クレジットのリスクプロファイルが現状から大きく変化するだろう」と指摘。結果的に「高格付けの市場にとって重大なリスク要因となりかねない」とインタビューで語った。

ハイテク企業の債務増は、金融市場での新たな懸念材料となっている。AIの高収益性への期待が背景にあるものの、AIが巨額の資本支出を正当化するだけの利益を出していないとの見方があるためだ。米国の投資適格債券のスプレッドは依然として低水準に推移するものの、ここ数週間でやや拡大している。ICE・BofA米社債指数によると、21日に86ベーシスポイント(bp)まで拡大し、今年6月末以来の大きさとなった。

コーエン氏は、社債市場は良好な状態を維持していると強調する一方、IT企業による債券発行が急増することは「警戒している」とし、関連投資の拡大に慎重な姿勢を示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米・ウクライナ、和平案巡り進展 ゼレンスキー氏週内

ワールド

トランプ氏、4月の訪中招待受入れ 習氏は年内訪米か

ビジネス

米IT大手、巨額の社債発行相次ぐ AI資金調達で債

ワールド

トランプ政権、25年に連邦職員31.7万人削減 従
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中