ニュース速報
ビジネス

米、対スイス関税15%に引き下げ 2000億ドルの対米投資確約

2025年11月15日(土)04時36分

米国とスイスが実施していた通商協議について、グリア米通商代表部(USTR)代表は14日、実質的な合意に達したと明らかにした。スイス政府も合意に達したと明らかにし、米国がスイスに課した関税率は15%に引き下げられると発表した。写真はスイスのベルンで3月12日撮影(2025年 ロイター/Denis Balibouse)

Susan Heavey David Lawder John Revill Dave Graham Emma Farge

[ワシントン/チューリヒ 14日 ロイター] - スイスは14日、米国との通商協議の結果、米国がスイスに課した39%の関税率を15%に引き下げることで合意が得られたと発表した。これにより、米国のスイスに対する関税率は欧州連合(EU)に適用される関税率と同水準になる。関税合意の一環として、スイスは2028年末までに米国に2000億ドルの投資を実施すると確約した。

グリア米通商代表部(USTR)代表は、今回の合意で長年の貿易障壁が取り除かれ、米国製品に対する新たな市場が開かれると指摘。医薬品など主要分野で米国の貿易赤字の縮小に寄与するほか、スイスによる大規模な対米投資で全米で数千人規模の雇用が生み出されると語った。

米ホワイトハウスによると、スイスが確約した対米投資2000億ドルのうち、少なくとも670億ドルが26年に実施される見通し。対象分野は医薬品、医療機器、航空宇宙、金の製造・加工などになるとしている。

スイスのパルムラン経済相は記者会見で、今回の関税率の引き下げでスイスの総輸出の約40%が恩恵を受けると言及。2000億ドルの対米投資については「当然スイス国内に投資されることを望む」としながらも、米国に投資するスイス企業のコスト引き下げるためにあらゆる手立てを講じると語った。

今回の合意により、トランプ米大統領が製薬業界を対象とした通商拡大法232条に基づく関税措置を発動させた場合でも、ロシュやノバルティス を含むスイス製薬大手に対し上限15%の関税率が保証される。通商拡大法232条に基づく措置は、特許医薬品の一部に対する関税率が最大100%に達する可能性があるとされていた。

パルムラン経済相は、半導体を対象とした通商拡大法232条に基づく関税措置が発動されても上限15%の関税率が適用され、EUと同等の条件になると指摘。「業種ごとに極めて高い関税が課されるリスクは排除された」と述べた。

スイス政府が発表した声明によると、スイスが「センシティブでない」と見なす米国産の工業製品のほか、海産物や農産品に対する輸入関税を引き下げる。また、米国産の牛肉500トン、バイソン肉1000トン、家禽肉1500トンに対する無関税の割当(クオータ)を設定する。

スイス連邦経済省経済管轄局( SECO)アルティエダ局長によると、米国の税関システムの調整が完了し次第、「数日から数週間以内」にスイスに対する15%の関税率が適用される。

今回の合意はスイスの隣国リヒテンシュタインにも適用。米国とスイスは26年第1・四半期までに今回の通商合意の最終決定を目指す。   

米国勢調査局の統計によると、24年のスイスの財(モノ)の対米貿易収支は383億ドルの黒字。25年はトランプ大統領が4月に大規模関税を発表するのに先立ち第1・四半期にスイスからの輸入が前倒しで増えたことを反映し、1─7月の黒字は557億ドルに拡大していた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、カーグ島の軍事目標「完全破壊」 イランは石油施

ワールド

米で「アンティファ」メンバーに有罪判決 初のテロ罪

ビジネス

パウエルFRB議長巡る召喚状、地裁が差し止め 司法

ワールド

焦点:雪解けは本物か、手綱握りなおす中国とロシア向
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 7
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 8
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 9
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 10
    謎すぎる...戦争嫌いのMAGAがなぜイラン攻撃を支持す…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中