ニュース速報
ビジネス

アングル:ブラジル産コーヒー豆にもトランプ関税50%、輸出先は中国などへ大シフトへ

2025年08月04日(月)16時46分

 8月1日、 ブラジル産コーヒー豆にも高関税を課すトランプ米政権の決定は、世界最大の生産国であり輸出国であるブラジルの豆の貿易ルートの再編を引き起こすことになりそうだ。ブラジリア近郊のコーヒー農園で7月撮影(2025年 ロイター /Adriano Machado)

Marcelo Teixeira

[ニューヨーク 1日 ロイター] - ブラジル産コーヒー豆にも高関税を課すトランプ米政権の決定は、世界最大の生産国であり輸出国であるブラジルの豆の貿易ルートの再編を引き起こすことになりそうだ。

トランプ米政権は7月30日、コーヒ豆ーを含む一部のブラジル製品に50%の関税を8月6日から課すと発表した。 ブラジルから米国のコーヒー加工業者に輸出されるコーヒーは年間約800万袋で、今回の関税措置を受けて商品取引業者やブラジルのコーヒー輸出業者は買い手探しに奔走することになりそうだ。

米国は年間約2500万袋を消費する世界最大のコーヒー消費国。その3分の1はブラジル産だ。

「世界のコーヒー貿易の流れは再編されるだろう。サンパウロからシアトルまで、原産地から焙煎業者、カフェチェーン、食料品店、そして消費者まで、痛みを感じることになるだろう」と、米国のコーヒーブローカーでMJニュージェント・アンド・カンパニーのオーナー、マイケル・ニュージェント氏は述べた。

ブラジルから米国に輸出されるコーヒー豆の量は、高品質コーヒー生産国エチオピアの全生産量に匹敵する規模で、その貿易ルートが再編されれば米国のライバルである中国に利益をもたらす可能性がある。

中国とブラジルはともに新興国グループ「BRICS」加盟国であり、第1次トランプ政権下の通商の混乱を受けて関係が強化されている。このため、米コーヒー業界の独立アドバイザー、マーク・ショーンランド氏は、より多くのブラジル産豆が中国に輸出されることになるだろうと述べた。

中国では、若いプロフェッショナルがカフェイン摂取量を増やすためにお茶からコーヒーに乗り換えており、コーヒー消費量が急増している。業界データによると、中国ではコーヒー消費量が過去10年間で毎年約20%ずつ増加しており、一人当たりのコーヒー消費量は過去5年間で倍増した。輸出業者協会セカフェのデータによると、ブラジルは2025年上半期に53万8000袋を中国に輸出している。

米国の焙煎・販売会社アトラス・コーヒー・クラブのコーヒー部門責任者、ローガン・アレンダー氏は、関税のかからない欧州連合(EU)向けのブラジル産豆の輸出も増えそうだと話す。

貿易専門家は、輸出業者がブラジル産コーヒーを第三国に輸出し、そこから米国に輸出することで関税を回避しようとする可能性があると見ている。

「物流コストは多少上がるが、(関税の)影響は最大でも10%から15%に下がる」と農産物会社AFEXの商業担当副社長デバジョティ・バッタチャリヤ氏は述べ、経由地としてメキシコやパナマなどの国が利用できると付け加えた。

「追跡可能な強力な供給網がなければ、関税は意味をなさない。石油の流通を止めることはできない。コーヒーも同じだ」と、同氏は指摘した。

ソフトコモディティのアナリストで独立コンサルタントのジュディス・ゲインズ氏は、米国がブラジル製品の広範な免除リストからコーヒー豆を除外したという事実は、トランプ大統領がブラジルのルラ大統領との対立において、コーヒー豆を交渉材料として利用していることを示唆していると述べた。

トランプ大統領は、ブラジル最高裁判所が自身の盟友であるボルソナロ元大統領を不当に扱っていると主張。米政府は7月31日、最高裁判事のアレクサンドル・デ・モラエス氏に制裁を科した。

貿易業者らによると、8月6日までにブラジルで積み込まれたコーヒーは10月6日まで関税を支払うことなく米国に輸入できるという。

米国東海岸の大手コーヒー加工会社ダウンイースト・コーヒー・ロースターズのウィリアム・カポス最高経営責任者は、来週の期限前に既に購入済みのブラジル産コーヒーを南米から出荷するよう急いでいると明かす。

カポス氏は今後、ブラジル産の豆の代わりに中米やアフリカ産のコーヒー豆の購入を検討していくと述べた。

「しかし、誰もがそうするだろうから、米国の買い手にとっては価格は厳しいものになるだろう」と、同氏は話した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

OPECプラス有志国、3月の据え置き方針維持か 2

ワールド

インドネシア中銀理事に大統領のおい、議会委員会が指

ビジネス

欧州委、XのAI「Grok」を調査 性的画像生成巡

ワールド

カナダ首相、3月初旬にインド訪問か 貿易多様化を推
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「楽園のようだった」移住生活が一転...購入価格より…
  • 7
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 10
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中