サッポロの不動産事業売却、野村不含め3陣営が応札準備 4000億円目安=関係者
Miho Uranaka Kane Wu
[東京/香港 30日 ロイター] - サッポロホールディングス傘下のサッポロ不動産開発の売却を巡り、現在3つの陣営が応札に向けた準備を進めていることが分かった。売却額は4000億円を目安に前後する可能性があるという。複数の関係者が明らかにした。
同関係者らによると、2次入札の締め切りは8月中を予定。うち1人によると、優先交渉権の付与を経て、最終的な売却先の決定は11月になる見通しだという。
関係者2人によると、応札に向けて動いているのは、米投資ファンドのローンスターと国内不動産ファンドのケネディクスの陣営、米投資ファンドのベインキャピタルと東急不動産の陣営。同関係者らを含めた3人によると、米投資ファンドのKKRとアジア系ファンドのPAG、野村不動産ホールディングスの陣営も準備を進めている。
関係者の1人によると、三菱地所も応札を検討していたが、すでに撤退したという。サッポロHDはこれまでに十数社から提案を受けていたと明らかにしている。
サッポロHDはロイターの取材に、「不動産事業の外部資本導入について複数の企業と協議を進めており、年内をめどに方向性を確定させる予定」とした。ベイン、KKR、PAG、東急不、ケネディクス、三菱地所はコメントを控えた。野村不は「お答えできる情報はない」とした。ローンスターの返答は得られていない。
売却の対象となっているのは、サッポロHDの完全子会社であるサッポロ不動産開発(東京・渋谷)で、サッポロHDは今年2月、外部資本の導入を通じて連結対象から外す方針を発表した。
サッポロ不動産開発は、オフィス、住宅、商業施設などが一体となった「恵比寿ガーデンプレイス」(東京・渋谷、目黒)を保有。1994年に開業した同施設の敷地面積約8万3000平方メートルの7割近くを所有する。東京の銀座や札幌市などにも不動産を持つ。
関係者によると、恵比寿ガーデンプレイスは完成済みの施設であることに加え、開発の難易度が高いエリア。買い手が再開発の余地などを見極めるなどしたうえで、売却額は4000億円を目安に前後する可能性もあるという。
今回の売却方針の背景には、サッポロHDが物言う株主である米投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズが資本効率の改善や不採算事業の見直しなどを求められていた経緯がある。3Dは以前から不動産事業の分離を提言していた。サッポロHDは不動産事業を切り離し、酒類事業に経営資源を集中する。
(浦中美穂、Kane Wu 取材協力:Sam Nussey 編集:久保信博)