世界のM&A、4月は20年余りぶりの低水準 米相互関税発表後冷え込む

5月6日、世界のM&A(企業合併・買収)活動は、トランプ米大統領が「相互関税」の詳細を発表した4月2日以降急速に冷え込み、コロナ禍が最も深刻だった時期や2008-09年の世界金融危機当時よりも取引が低調になっている。2020年11月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
[ニューヨーク 6日 ロイター] - 世界のM&A(企業合併・買収)活動は、トランプ米大統領が「相互関税」の詳細を発表した4月2日以降急速に冷え込み、コロナ禍が最も深刻だった時期や2008-09年の世界金融危機当時よりも取引が低調になっている。
ディールロジックがロイター向けにまとめたデータによると、4月の世界全体のM&A契約件数は2330件で、05年4月以来の低水準となり、過去20年の月間平均より34%も低い。金額ベースでも2430億ドルと3月に比べて54%減少し、月間平均を20%下回った。
米国で4月に合意されたのはわずか555件と、09年5月以来の少なさだった。
相互関税発表によって国際金融市場の地合いが悪化したほか、先行き不透明感の広がりに伴ってバンカーらが顧客に、米国の政策動向がよりはっきりするまでM&Aや新規株式公開(IPO)を控えるよう助言したもようだ。
トゥルーイスト・セキュリティーズの投資銀行マネジングディレクター、ロレンツォ・パオレッティ氏は「私は顧客に時期を待つようアドバイスしている。企業の最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)はまだ一連の関税措置が彼らにどう影響するか完全に把握していないので、事態がもっと明白になるまで手元に現金をとどめておくのが得策だ」と述べた。
モルガン・スタンレーのアナリスト、リサ・シャレット氏は、4月は貿易戦争が市場のボラティリティーを歴史的な高水準まで高め、トランプ氏がパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長解任をちらつかせたことも市場の緊張度をさらに増幅させたと指摘した。