ニュース速報
ビジネス

FRB0.25%利下げ、全会一致で決定 議長「慎重かつ忍耐強く」

2024年11月08日(金)09時07分

米連邦準備理事会(FRB)は6─7日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.50─4.75%とした。2022年6月撮影(2024年 ロイター/Sarah Silbiger)

Howard Schneider Ann Saphir

[ワシントン 7日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は6─7日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.50─4.75%とした。決定は全会一致。

FRBは声明で、雇用市場が全般的に減速する中、インフレ率はFRBが目標とする2%に向けて継続的に低下していると指摘。「経済活動は引き続き堅調なペースで拡大している」とした。

パウエル議長はFOMC後の記者会見で、この日の決定について「経済と労働市場の強さを維持するのに役立ち、時間とともにより中立的なスタンスに向かうにつれてインフレ面のさらなる進展を可能にするだろう」と説明。「経済とわれわれの政策はともに非常に良い状態にあると考えている」と述べた。

今後の利下げの程度やペースについてはほとんど手掛かりを示さなかった。景気を刺激も抑制もしない中立水準に向けて政策金利を徐々に引き下げるという9月時点の「ベースライン」予測は依然有効だが、具体的な引き下げペースや最終的な着地点は入手するデータ次第だと指摘。

「急ぎ過ぎてインフレ面での進展を損なうリスクと、ゆっくり過ぎて労働市場が過度に弱まるリスクの間でかじ取りをしようとしている」とし、「中立を見いだす正しい方法は慎重かつ忍耐強くあることだ」との見方を示した。

JPモルガン・ウェルス・マネジメントの投資戦略担当責任者、エリゼ・オーセンボー氏は「12月もそれほど論争にならないかもしれない」と述べ、今年最後のFOMCでさらに0.25%の利下げが行われる可能性があるとの認識を示した。

<声明の文言修正>

FOMC声明は「雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクがほぼ均衡していると判断する」とし、前回の表現を踏襲した。

一方、雇用については前回の声明で毎月の雇用増の鈍化を指摘していたのに対し、今回は労働市場についてより広い観点から言及。失業率は引き続き低水準にあるとしながらも、「労働市場の状況は全般的に緩和している」とした。

インフレについても、FRBの目標に向けて「進展した」とし、「さらに進展した」としていた前回の表現をやや修正した。

パウエル議長はこれについて、インフレが粘着的だと示唆するものではないと説明。インフレ目標に向けた進展は平たんな道ではないと常に想定してきたとした上で、当局者はインフレ率が目標の2%に向けた持続的な軌道にあるという自信を得たと述べた。

<トランプ次期大統領>

パウエル氏は大統領選でのトランプ氏勝利について、米国の金融政策に「短期的な」影響を与えることはないだろうと述べた。

トランプ次期大統領の就任後、FRBが同氏の政策にどのように対応するかとの質問には、政策が具体化した段階で想定される影響をモデル化するという通常のプロセスを踏むとし、憶測を控えた。

トランプ氏から求められれば辞任するかとの問いには「ノー」と応じた。

金利の「ペースと行き先」を決定するためにデータを評価し続けると強調。しかし、新政権の政策案が具体化するにつれ、FRBは物価の安定と雇用の最大化という2つの目標への影響を評価し始めるだろうと述べた。

「それはどの政権を受けても常に経験するプロセスだ」とした。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも

ビジネス

米バークシャー、アルファベット株43億ドル取得 ア

ワールド

焦点:社会の「自由化」進むイラン、水面下で反体制派
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 8
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 9
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 10
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中