ファーストリテ、今期営業益も過去最高へ 前期売上高は初の3兆円台
10月10日、ファーストリテイリングは、2025年8月期の連結営業利益(国際会計基準)が前年比5.8%増の5300億円となる見通しと発表した。写真はユニクロのロゴ。都内で2013年4月撮影(2024年 ロイター/Yuya Shino)
Maki Shiraki
[東京 10日 ロイター] - ファーストリテイリングは10日、2025年8月期の連結営業利益(国際会計基準)が前年比5.8%増の5300億円となる見通しと発表した。4年連続で過去最高を見込む。主力ブランド「ユニクロ」の海外事業を中心に世界での事業拡大が寄与する。IBESがまとめたアナリスト14人の予想平均値5177億円を上回る。前期は売上高に当たる売上収益が3兆円、営業利益が5000億円を初めて突破した。
24年8月期(前期)の連結決算は、営業利益が前の年に比べ31.4%増の5009億円、売上収益は同12.2%増の3兆1038億円だった。欧米を中心に海外販売が好調となり営業利益、売上収益とも3年連続で過去最高を更新した。
同社は33年にも売上収益10兆円の達成が目標。柳井正会長兼社長は会見で「売り上げを毎年5000億円ずつ伸ばせば、数年のうちに5兆円に届く。世界市場の環境、会社の潜在力はそれが可能なステージに来ている」と説明、「10兆円を目指し、将来に向けて具体的な計画と準備を進めている」と述べた。「北米と欧州で売上高ナンバーワン、1兆円が見えている感触がある」とも語った。
柳井氏はまた、息子2人には創業家として「企業のガバナンスを担ってもらいたい」と言い、公開企業でありつつもしっかりした創業家が存在することで「双方の良いところを発揮できるバランスのとれた経営をしたい」と述べた。賃上げについては、ベースアップは「考えていない。社員1人ずつ(の才能や能力)が正当に評価されることが大事。一律何%というのはおかしい」と指摘した。
事業別での今期予想は、国内ユニクロ事業が若干の増収増益、海外ユニクロ事業は大幅な増収増益、ジーユー事業とグローバル事業は増収増益。今期予想の前提為替レートは、8月末のレートである1ドル=144.9円、1人民元=20.4円とした。今期の配当予想は中間・期末とも225円、年間で前期比50円増配の450円。
岡崎健最高財務責任者(CFO)は、前期は「収益の柱の多様化が加速し、世界全体で稼ぐ体制がより強固になった」と指摘。ユニクロの知名度が世界で高まり、現地の顧客が拡大したほか、観光客需要も取り込んだという。
岡崎氏はまた、これまでは上期偏重だった利益が「下期もしっかり稼げる体質に変革した」と語った。「戦略的に売れ筋商品の在庫を持ち、ニュースを継続的に発信して下期の売り上げを拡大した」とし、下期に利益が出にくかった欧米のユニクロ事業は営業利益率15%以上を今期も維持する計画という。