ニュース速報
ビジネス

CPIや企業決算に注目、混乱沈静化見極め=今週の米株式市場

2024年08月11日(日)13時12分

 12日からの週の米株式市場では過去1週間の乱高下を受け、混乱沈静化の手掛かりとしてインフレ指標や企業決算、大統領選の世論調査などに注目が集まる見通しだ。写真はニューヨーク証券取引所。2022年11月撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid)

David Randall

[ニューヨーク 9日 ロイター] - 12日からの週の米株式市場では過去1週間の乱高下を受け、混乱沈静化の手掛かりとしてインフレ指標や企業決算、大統領選の世論調査などに注目が集まる見通しだ。

市場ではここ数カ月落ち着いた取引が続いてきたが、今月に入り軟調な指標が相次ぎ、円キャリートレード解消の動きもあって、ボラティリティーが急激に高まった。

S&P総合500種は5日の急落後、値を戻しつつあるが、先月に付けた過去最高値を依然として6%程度下回っている。

ミラマー・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ボブ・カルマン氏は「いま誰もが経済に懸念を示している」と指摘。「市場は重大な地政学的リスク、接戦の大統領選、収まらないボラティリティーへの恐怖に直面している」と語った。

トレーダーは市場に落ち着きが戻るまで時間がかかるとみている。

投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)の過去の動向からも、ボラティリティーの高まりが収まるのに通常数カ月かかることが示されている。

ロイターの分析によると、VIXが5日のように35を上回って引けた場合、投資家の不安がはるかに少ない水準である長期的な中央値の17.6に戻るまでに平均170営業日を要する。

火種となる可能性があるのは14日発表される消費者物価指数(CPI)だ。インフレが急速に低下している兆候が示されれば、米連邦準備理事会(FRB)が高水準の金利を長期間維持することで経済を崩壊させ市場の混乱を招いたとの懸念が高まる恐れがある。

12日からの週には小売り大手ウォルマートやホームセンター大手ホーム・デポなどが発表する決算も、高金利下での消費者動向を探る材料として注目される。

米大統領選も市場に不透明感をもたらす。

ロイター/イプソスが8日発表した大統領選に向けた支持率調査によると、民主党の大統領候補であるハリス副大統領が42%、共和党候補のトランプ前大統領が37%で、ハリス氏がリードを広げている。

ガベリ・ファンズのバリュー部門共同最高投資責任者、クリス・マランギ氏は、選挙によって市場のボラティリティーは高まるものの、9月に見込まれる利下げで、出遅れ銘柄への資金シフトが加速する可能性があると指摘。「選挙に向けてボラティリティーは高まるだろうが、金利の低下で経済の弱さが補われ、基調的なローテーションは続くだろう」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中