ニュース速報
ビジネス

日米韓、為替巡り「緊密協議」 急速な円安・ウォン安懸念に言及

2024年04月18日(木)13時41分

日米韓は17日に開催された初の財務相会合で、外国為替市場の動向について「緊密に協議する」ことで合意した。2015年12月撮影(2024年 ロイター/Kim Hong-Ji)

Leika Kihara

[ワシントン 17日 ロイター] - 日米韓は17日に開催された初の財務相会合で、外国為替市場の動向について「緊密に協議する」ことで合意した。

共同声明で「最近の急速な円安およびウォン安に関する日韓の深刻な懸念」への認識を示し、「既存の20カ国・地域(G20) のコミットメントに沿って、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」とした。

また「持続可能な経済成長、金融の安定、秩序があり十分機能する金融市場を促進するため、引き続き協力していく」とした。

声明発表を受けドルは対円で下落。1ドル=154.18円を付けた。16日に付けた34年ぶり高値の154.79円は下回っている。18日アジア時間は直近で154.24円。

日本が前回、為替介入を行ったのはドルが151.94円を付けた2022年10月。

マネックスUSA(ワシントン)の外為トレーダー、ヘレン・ギブン氏は、今回の声明で政府・日銀による市場介入の地合いが整う可能性があると指摘。「文言がかなり強いため、週末までに何らかの具体的な動きがあっても驚くべきことではない」と述べた。

<協調介入の可能性にはコメント回避>

鈴木俊一財務相は17日にイエレン米財務長官と2国間会談も開き、「行き過ぎた動きには適切に対応する」用意があることを説明したと記者団に語った。詳細には言及しなかった。

神田真人財務官は過剰な円の動きに対処する上で、いかなる選択肢も排除しないと述べた。

神田氏はドルの上昇抑制に向けた協調介入の可能性に関する質問にはコメントを控えた。

コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「過去数回の介入サイクルでは、米当局(特にイエレン氏)が日本の動機を認める声明を発表し、口頭で支持を表明した」と指摘。

「戦略的な観点からすると、為替介入は国際的な協調によって行われる方が成功する可能性がはるかに高い。一方的な介入はボラティリティーの緩和には役立つが、長期にわたる金利差による円安を反転させるには不十分だ」と述べた。

みずほ証券のチーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏は、ドル/円が155円を突破した場合、それだけで日本当局が介入するかどうかは分からないと指摘。

強い米経済が米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期を遅らせ、ドルを押し上げている状況で、単独介入の効果は長続きしないと当局は考えているだろうと語った。

声明はこのほか「われわれはともに、対ウクライナ戦争の負担をロシアに科すため、および北朝鮮の兵器計画を標的にするため、各国の制裁手段を活用し、調整するとのコミットメントを確認する」とした。

さらに「経済的威圧と主要部門における過剰生産能力を含む、サプライチェーンの脆弱性と他国の非市場的慣行がわれわれの経済に損害を与える可能性の克服に向け、協調して行動することの重要性を強調する」とした。

<G7声明、日本の主張も反映>

神田財務官は米国時間17日夜(日本時間18日午前)、訪問先のワシントンで記者団に対し、今回のG7財務相・中銀総裁会議の声明で「日本の主張も踏まえて、為替を含む過去のG7における政策対応に関するコミットメントが再確認された」と述べた。

その上で、コミットメントの内容とは「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与え得るとの認識だ」とした。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:失言や違法捜査、米司法省でミス連鎖 トラ

ワールド

アングル:反攻強めるミャンマー国軍、徴兵制やドロー

ビジネス

NY外為市場=円急落、日銀が追加利上げ明確に示さず

ビジネス

米国株式市場=続伸、ハイテク株高が消費関連の下落を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 5
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中