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超長期中心に日本国債積み増し、6月に日銀のYCC再修正を想定=日本生命運用計画

2023年04月24日(月)19時00分

 4月24日、 日本生命保険は一般勘定資産の2023年度運用計画で、超長期国債や通貨スワップで円金利化した外国社債を含む「国内債券等」の残高を積み増す。写真は同社のロゴ。都内で2019年2月撮影(2023年 ロイター/Hideyuki Sano)

[東京 24日 ロイター] - 日本生命保険は一般勘定資産の2023年度運用計画で、超長期国債や通貨スワップで円金利化した外国社債を含む「国内債券等」の残高を積み増す。また、日銀が6月にもイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)政策を再修正すると想定し、金利上昇を待って国債買いのペースを加速させる方針という。

都築彰・執行役員財務企画部長が24日、運用方針説明会で明らかにした。

今年度の新規資金(ニューマネー)は例年と同程度の1兆円余りを見込む。

このうち、円金利資産の柱の「国内債券等」では、超長期をメインとする国債と、通貨スワップを使って円建てのキャッシュフローに固定した外債で残高を「1兆円程度」積み増す計画。その比率は「概ね半々だが、国債の割合が半分より少し多くなるイメージ」という。

日本生命では日銀の金融政策について、6月にもYCC政策の長期金利の許容変動幅を現行のプラスマイナス0.5%から同1%に拡大する再修正があるとのシナリオを想定。

都築氏は「30年債で1.3%程度という今の金利水準は、買えるか買えないかで言えば買えるが、魅力があるとは思っていない」とした上で、国債買いのペース配分について「6月に日銀のYCC再修正を見込む中で、(年度初は)全然買わないということではないが、少しペースはゆっくり目にスタートしたい。金利が上がったところで追加で買えればと思っている」との考えを示した。また積極的に買える金利水準としては「30年で1.5%から2%に近付くと妙味が出てくる」と述べた。

外国債券のうち、「円債代替」である為替ヘッジ付き外債については、残高は横ばいを見込む。「ヘッジコスト高止まりが見込まれる中、ヘッジ後利回りで妙味のある外国社債に厳選して投資する。米国など先進国のシングルA格が中心になる」という。

一方、オープン外債については、為替や金利水準次第だが、残高は横ばいから減少を見込む。為替については、23年度末のドル円レート見通しが120円と、現在よりも円高に振れると予想している。

このほか、国内株式の残高は横ばい。外国株式は、利回り向上と分散投資の観点からオルタナティブを増やす。国内不動産は物件のリニューアルに投資するなどして、残高は横ばいの計画。

都築氏は「計画は我々の相場見通しを前提に作っているが、その通りにならない可能性も十分にある。他に蓋然性の高いシナリオが出てきた時などは計画に固執せず、マーケット環境に応じて機動的に配分を行いたい」と、リスクシナリオに柔軟に対応する考えを示した。

日本生命の一般勘定の資産残高は、12月末時点で72兆7617億円。うち外貨建て資産は17兆4697億円(24.0%)。

2023年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.30―1.00%(年度末0.80%)

米国債10年物利回り  2.50―4.50%(年度末3.50%)

日経平均株価      2万―3万円(年度末2万5000円)

NYダウ        2万7000─3万7000ドル(年度末3万2000ドル)

ドル/円        108―132円 (年度末120円)

ユーロ/円       122―148円 (年度末135円)

(植竹知子)

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