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実質GDP、2期ぶりマイナス 経財相「先行き下振れリスク注意」
内閣府が18日発表した実質GDP1次速報によると、2022年1―3月期の成長率は前期比0.2%減、年率換算で1.0%のマイナス成長となった。前期比マイナスは2四半期ぶり。都内で2020年11月撮影(2022年 ロイター/Issei Kato)
[東京 18日 ロイター] - 内閣府が18日発表した実質国内総生産(GDP)1次速報によると、2022年1―3月期の成長率は前期比0.2%減、年率換算で1.0%のマイナス成長となった。前期比マイナスは2四半期ぶり。山際大志郎経済財政相は今後景気の持ち直しが期待されるとしつつ、ウクライナ情勢に不透明感がみられる中、原材料価格上昇や供給面での制約による下振れリスクには注意が必要との認識を示した。
ロイターが民間調査機関17社を対象に実施した事前予測では前期比0.4%減、年率で1.8%減と見込まれていた。
GDPの多くを占める個人消費は前期比0.03%減と、2四半期ぶりにマイナスに転じた。「オミクロン株」の感染拡大を受けて「まん延防止等重点措置」がとられ、旅行や外食などへの消費が弱まった。
個人消費とともに内需の柱となる企業の設備投資は同0.5%増と、2四半期連続プラス。内閣府によると、はん用機械や研究開発などがプラスに寄与した。
民間住宅投資は1.1%減。公共投資は3.6%減と5四半期連続で減少した。東日本大震災関連の大型復興関連工事が一段落しているとみられる。
輸出は1.1%増、輸入は3.4%増と、ともに2四半期連続で増加した。GDP全体に占める外需の寄与度はマイナス0.4%。ワクチン・治療薬の購入などに伴う輸入の増加が、輸出の増加を上回った。
大和証券の末広徹シニアエコノストは「コロナの影響で内需が振るわなかったうえ、中国を中心に輸出の伸びも小幅だった」と指摘。政府の経済政策への影響について「マイナス成長となってGDPギャップが拡大しており、引き続き20兆円程度の財政政策を打つべきとの声が続きそうだ」と述べた。
同時に発表した2021年度の実質GDPはプラス2.1%で、3年ぶりのプラス成長だった。
<4─6月期はプラス予想、ウクライナ巡る不確実性も>
4―6月期は現時点でプラス成長を予想する声が多い。日本経済研究センターが実施したESPフォーキャスト5月調査(回答期間4月28日─5月11日)によると、4―6月期GDPは年率5.18%増となっている。
第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは、コロナ感染が落ち着き、外食やサービスなどの個人消費は明確に持ち直してくると指摘。自動車の供給制約が徐々に解消していく中で、耐久材の需要回復も大きいという。設備投資も非製造業を中心に先延ばししていたプロジェクトなどが再開し、高水準を維持するとみている。
4─6月期について山際経済財政相は、ウクライナ関連の影響が1─3月期よりも色濃く出てくるとの見方を示した。「ウクライナの問題は予見できないので、下振れリスクとしての不確実性がある。中国のゼロコロナ政策もサプライチェーンの問題に大きな影響を及ぼしうる」と語った。その上で、不確実性に柔軟に対応できる体制を整えておくことが必要との認識を示した。
政府は、足元の原油高・物価高に対応するために取りまとめた総合緊急対策を速やかに実行する考え。さらに、岸田文雄政権が掲げる「新しい資本主義」のグランドデザインや実行計画、骨太の方針を6月までにまとめて中長期的な課題にも対応する方針だ。
(杉山健太郎、金子かおり 編集:田中志保、宮崎亜巳)
*本文最終段落を追加しました。