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長期金利の許容変動幅拡大は「事実上の利上げ」=内田日銀理事
日銀の内田真一理事は10日、長期金利の許容変動幅の拡大は「事実上、利上げすること」と述べた。写真は、日銀本店の旧館。2020年5月22日に撮影。(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 10日 ロイター] - 日銀の内田真一理事は10日、参議院財政金融委員会で、長期金利の許容変動幅の拡大は「事実上、利上げすること」であり、現在の日本経済にとって「好ましいことではない」と言明した。一方、為替相場の短期間の変動は先行きの不確実性を高め、望ましくないとも述べた。
熊谷裕人委員(立憲民主・社民)の質問に答えた。
内田理事は、資源高で経済が下押しされる状況では「強力な金融緩和により、経済活動をしっかりサポートすることが何よりも重要だ」と改めて発言。長期金利の誘導目標について、現行のゼロ%プラスマイナス0.25%を変更することは考えていないと強調した。
<安倍元首相の発言が波紋>
時事通信によると、安倍晋三元首相は9日の大分市での会合で、日銀が市場を通じて政府の国債を買い入れていることに触れ、「日銀は政府の子会社だ」と述べた。「日銀は政府の子会社なので60年で(返済の)満期が来たら、返さないで借り換えて構わない。心配する必要はない」とも語ったという。
安倍元首相の発言について、鈴木俊一財務相は「今後も永続的に日銀が国債を買い入れる前提で、日銀保有国債は借り換えれば良いとの考えはとっていない」と指摘。「市場からそのような疑いを持たれ、市場の信認が失われるような事態を招くことがないようにする必要がある」と話した。
内田日銀理事は、金融政策や業務運営で日銀には自主性が認められており、国債買い入れは「金融政策上の目的で実施している」と述べた。
(和田崇彦 編集:田中志保)