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日銀収益、緩和の出口でマイナスになるとは限らず=黒田総裁
日銀の黒田東彦総裁は16日午前の衆院財務金融委員会で、金融緩和からの出口政策の局面では金利上昇による逆ザヤが発生する可能性はあるが、日銀の収益が赤字なるとは限らないとの見方を示した。写真は2015年10月、日銀本店で撮影(2022年 ロイター/Thomas Peter)
[東京 16日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は16日午前の衆院財務金融委員会で、金融緩和からの出口政策の局面では金利上昇による逆ザヤが発生する可能性はあるが、日銀の収益が赤字なるとは限らないとの見方を示した。藤巻健太委員(維新)への答弁。
<通貨発行益あり信認毀損されず>
黒田総裁は、日銀の決算は償却原価方式であるため、金利が上昇し国債の市場価格が下落しても「決算上の期間損益で保有国債の評価損は計上されず、財務の健全性が損なわれることはない」と指摘。保有国債の時価評価も「2021年9月末時点で1兆円の評価益となっている」と強調した。
同時に「仮に将来評価損が生じたとしても、中央銀行は継続的に(お札の価格が製造コストを上回ることによる)通貨発行益が発生するので、信認が毀損されたり、政策運営に支障が生じることはない」と明言した。
<出口では保有国債再投資で受け取り金利も上昇>
金融緩和を縮小していく出口局面では、金融機関に支払う付利引き上げに伴い日銀に逆ザヤが発生され、日銀の財務の健全性が毀損される可能性については「政策金利を引き上げると当然支払い利息が増えるが、日銀の保有国債の平均残存期間は7年弱で、償還期限の来た国債に再投資するので、受け取り利息の大半を占める国債の金利も上がっていく」と指摘した。
このため「短期金利の急上昇などで一時的な逆ザヤはありえるが、そうなると決めつけることもできない。プラスの形(の収益)が続く可能性もある。一概に出口にさしかかると金融収益がマイナスになると決めつけることもできない」と説明した。
<FRBも赤字になる可能性薄い>
また、米連邦準備理事会(FRB)も「出口の局面で数年赤字になるとの予測を示していたが、コロナの中で緩和を続け、今頃正常化のプロセスはじめるということで、おそらく赤字になる可能性は薄い」と論評した。