ニュース速報

ビジネス

東芝総会、永山議長の再任否決 海外株主が反対票

2021年06月25日(金)16時20分

 東芝が25日に開催した定時株主総会で、永山治取締役会議長の再任が反対多数で否決された。川崎市の東芝施設で10日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 25日 ロイター] - 海外株主への圧力問題で揺れた25日の東芝株主総会は、焦点だった永山治取締役会議長の選任など、会社側議案が一部否決される異例の展開となった。

関係筋によると、永山氏の否決には多くの票が集まった。「注目度が高まったことで、海外株主の投票が増えたためではないか」という。

<東芝は取締役会後に対応発表へ>

取締役候補者11人中、賛成を得られなかったのは永山氏と、監査委員会の委員だった小林伸行氏。昨年7月の株主総会運営に関する外部弁護士の調査報告書を受けて、両氏に辞任を求める声が大株主から上がっていたが、永山氏が続投に意欲を示すなど、事前から対立姿勢が目立っていた。

総会終了後、第2位株主の3Dインベストメント・パートナーズは声明を発表。総会の決議は、透明性の確保や株主との信頼構築を推進する「極めて画期的なもの」だとして、「東芝再興を願う者として、新経営陣との建設的かつ継続的な対話を通じ、できる限り支援したい」と表明した。

東芝は議案の否決を「真摯(しんし)に受け止めている」とのコメントを公表。役員人事の詳細は総会後の取締役会で決議し、あらためて発表するとしている。

総会には27万人の株主のうち、183人が出席。17人が質問に立ち、2時間42分続いた。綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)や社外取締役のポール・ブロフ氏、ワイズマン広田綾子氏、ジェリー・ブラック氏、レイモンド・ゼイジ氏ら9人は、会社提案通り承認された。

経済産業省は総会の結果を受けて、個別企業の株主総会や人事についてはコメントを控えるとしつつ、「東芝には、株主との対話を通じたコーポレート・ガバナンスの向上を図りつつ、国の安全の確保にとって重要な事業や技術の安定的な発達が図られることを期待している」と表明した。

<株価は高値圏で上昇一服、永山氏の後任に注目>

この日の東京株式市場で東芝株は、2カ月ぶり高値圏で上昇が一服。楽天証券チーフストラテジストの窪田真之氏は「永山氏の後任が誰かによって、東芝のガバナンスを変えることができるかもしれない。永守氏(日本電産会長)のように、強いリーダーシップとコーポレート・ガバナンスの知見を持った人物なら、改善に期待できるのではないか」と話している。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB追加利下げは慎重に、金利「中立水準」に近づく

ビジネス

モルガンS、米株に強気予想 26年末のS&P500

ワールド

ウクライナ、仏戦闘機「ラファール」100機取得へ 

ビジネス

アマゾン、3年ぶり米ドル建て社債発行 120億ドル
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 8
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 9
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 10
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 10
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中