ニュース速報

ビジネス

ECB総裁、景気回復なお予想 「封鎖解除が前提」

2021年01月14日(木)01時49分

 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は1月13日、一部のユーロ圏諸国が新たな制限措置を打ち出しているが、3月末までに解除され、ワクチン接種が進めば、今年の景気回復を見込むECBの予測に影響はないとの認識を示した。仏ストラスブールで2020年2月撮影(2021年 ロイター/Vincent Kessler)

[フランクフルト 13日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は13日、一部のユーロ圏諸国が新たな制限措置を打ち出しているが、3月末までに解除され、ワクチン接種が進めば、今年の景気回復を見込むECBの予測に影響はないとの認識を示した。

総裁は「ロイター・ネクスト」会議でインタビューに応じ「12月の前回予測が、依然として妥当であることは非常に明らかだと思う」と発言。「われわれの予測は第1・四半期末までロックダウン(都市封鎖)が続くことを前提にしている」と述べた。

同時に、経済活動に対する制限措置が第2・四半期も続けば懸念要因になると警告した。

ECBは先月、今年のユーロ圏の経済成長率を3.9%と予測。今年末までに「十分な」集団免疫を獲得することが予想の前提になっているとしていた。

総裁は、初期段階のワクチン接種が「骨の折れる」作業だったことを認めた上で、その点をリスク要因として注視する必要があると指摘。「3月末以降も依然としてロックダウン措置が必要という状況になり、そして、たとえばだがワクチンの接種ペースが落ちれば、懸念要因となるだろう」と述べた。

民間のエコノミストは、すでに経済成長予測を下方修正している。バンク・オブ・アメリカの予測は2.9%。従来予測から1%ポイント下方修正した。

総裁は、必要であれば債券買い入れプログラムを再び拡大することは可能だとする一方、危機が収束すれば、1兆8500億ユーロの資産購入枠を全額利用しない可能性もあるとし、「合意したパッケージに余剰が出れば、全部を使い切る必要はない。良好な資金調達環境という目標を維持するため十分な買い取りを行い、拡大が必要なら再調整を行う」と表明した。

昨年上昇したユーロ相場については「為替レートが物価に与える影響にかなり注意を払っており、今後も引き続き十分に注視していく」と述べたほか、ECBは特定の為替レートを目標にしていないと確認した。また、年央に取りまとめが予定されている包括的な戦略検証に伴い、ECBが掲げる物価目標の定義は向上する見通しとした。

気候変動への取り組みを巡っては、ECBの役割を明確にする必要があると強調。「気候変動はインフレや金融の安定、中央銀行を含む全てのバランスシートに影響を与えている。過去1年間だけで33の大規模な気象事例が発生しており、その被害額は10億ユーロを超えている」とした。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米高官、中国レアアース規制を批判 信頼できない供給

ビジネス

AI増強へ400億ドルで企業買収、エヌビディア参画

ワールド

米韓通商協議「最終段階」、10日以内に発表の見通し

ビジネス

日銀が適切な政策進めれば、円はふさわしい水準に=米
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に共通する特徴、絶対にしない「15の法則」とは?
  • 4
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 10
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中