ニュース速報

ビジネス

米FRB当局者、コロナ再拡大で景気回復頭打ちを予想 追加支援も

2020年07月08日(水)08時20分

米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は7日、国内の新型コロナウイルス感染者の急増により、経営者が「再び神経質になっている」と述べた。ワシントンのFRB本部で昨年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

[7日 ロイター] - 複数の米連邦準備理事会(FRB)当局者は7日、国内の新型コロナウイルス感染者の急増によって消費や雇用が抑制される可能性が高く、米経済の回復は厳しい逆風に直面するとの見解を示した。クラリダ副議長は、FRBとして追加支援策を講じる用意があると表明した。

同副議長はCNNインターナショナルに対し、「多くの緩和政策を導入しているが、できることはまだあり、その意向もある」と述べた。

また、FRBが買い入れ可能な債券の規模に「限界はない」とし、フォワードガイダンスと併せて政策をさらに緩和し、必要な限り融資制度を維持することは可能だと述べた。

5月と6月に経済が改善した兆候は「非常に喜ばしい」としながらも、経済の先行きを見極めるために感染の行方を注視していると語った。

アトランタ地区連銀のボスティック総裁はオンラインでのイベントで、新型コロナ感染者の急増により経営者が「再び神経質になっている」と指摘。「経営者や消費者が懸念している。われわれの予想よりも長期化するかもしれないとの実感がある」と述べた。

また、景気回復のペースを測るうえで今後3─6週間が非常に重要になるとし、これまでの予想以上に早く、より低い水準で頭打ちになる可能性があるとの見方を示唆した。

サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁も全米企業エコノミスト協会(NABE)のイベントで同様の見解を示した。

同総裁は、6月の雇用統計で非農業部門雇用者数が480万人増加したことに関連して、労働市場は「個人的に予想していたよりも良い状況にあるが、望ましい状況からは程遠い」とし、11.1%という失業率は極めて高い水準だと述べた。

また、新型コロナの感染拡大が続く中、消費者は外食や感染リスクのあるその他の経済活動への参加を控える可能性があると指摘。州・地方政府は税収の落ち込みや支援サービスへの支出拡大で人員削減が必要になるなど、持続困難な状況に置かれるとした。

その上で「(経済は)望ましいとは言えない水準で横ばいになると想定している」と語った。

この日公表された米連邦準備理事会(FRB)の調査によると、状況が正常化するまで1年以上かかるとする回答者が46%となり、4月調査の35%から上昇したことが分かった。調査は6月3日─12日に1869人を対象に行われた。

7月末には週600ドルの失業給付上乗せなど家計や企業に対する政府の支援策の一部が終了する。

クリーブランド地区連銀のメスター総裁はCNBCのインタビューで、「国民はさらに支援を必要としている。州政府、地方政府も一段の支援が必要だ」と述べた。その上で、自身の経済見通しでは「長期に続く回復局面」を予想し、議会が追加財政措置を打ち出すことを想定しているとした。

リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、こうした支援策が延長されなければ、一部の企業や家計は支払いが困難になり、米経済は「非常に現実的なリスク」に直面すると警鐘を鳴らした。

アトランタ地区連銀のボスティック総裁も、パンデミック(世界的大流行)後の世界への移行にはより長い時間が必要かもしれないとし、事実が明らかになるにつれ、政府や議会が一段の対策を検討する可能性があるとの見方を示した。

*内容を更新し、カテゴリーを追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ルクオイル株凍結で損失の米投資家に資産売却で返済、

ビジネス

英中銀当局者、金利見通し巡り異なる見解 来週の会合

ビジネス

ネトフリのワーナー買収、動画配信加入者が差し止め求

ワールド

中ロの軍用機が日本周辺を共同飛行、「重大な懸念」と
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中